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昼休み

「悠衣」  室内に入り電気をつけると、柊が悠衣の手を引く。  イスに座った柊の膝の間に悠衣を座らせ、後ろからギュッと抱きしめた。  悠衣も柊に身を任せ、もたれかかる。 「悠衣……今日も、いつも通り何事もなかったですか?」 「うん」  後ろから柊が悠衣の耳を口に含み、はむはむと食んだ。  くすぐったそうに悠衣は、身をよじる。 「何かあったら、すぐに言ってくださいね。たとえ授業中であっても、すぐに駆け付けますから」 「授業サボっちゃ、ダメだよ?」 「悠衣のためなら、そんなこと些事です」  横から悠衣のほっぺにキスをし、柊は弁当に手をかけた。  オレンジ色のハンカチで包まれたのを悠衣の前に、そして青色のを横に置き、箸を口と手で割る。 「では、いただきます」 「いただきます」  手を合わせ、柊の片手はまだ悠衣の体に回されたまま、二人は昼食を開始した。 「悠衣」  そしてしばらく、当たり障りのない話をしていた時だった。  ふと柊の声が、真剣みを帯びる。 「明日から、学校を休みなさい」 「……何で?」 「朝より、匂い強くなってますよ。明日か、早くても今日には発情期に入ってしまうでしょう。本当は、今からでも休ませたいくらいですが……」 「ううん、今日はちゃんと出席する」 「そうですか」  オメガの発情期は、一週間ほどだ。  三か月に一回とは言っても、元々体が弱い悠衣は、学校を休みがちである。  出席できるときに出席しないと、単位を落としてしまう。  明日休むのなら、元気な今日くらいは最後まで授業に参加しなければ、そしてそんな悠衣の心情を知っている柊は、心配ながらも悠衣の意思を尊重し、頷いた。 「では、今日は真っ直ぐに帰ってくださいね? 帰りは職員会議があるので、遅くなりますから」 「分かった」  そして二人は、昼休みをめいいっぱいイチャイチャして過ごした。

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