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大好き

「だって……大切に、でしょ?」 「え?」 「僕の『運命』は、柊兄だよ」 「……!?」 「気づかなかった? 互いのフェロモンが運命を求めて、本能に疼きだしてる。……キス、したくなる、触りたくなる」 「悠衣!」  妖艶な気配を醸し始めた悠衣が、柊の膝の上に乗る。  そして耳に口を寄せた悠衣は、甘ったれた声で、囁いた。 「抱いて、柊兄」  フェロモンが室内に充満する、理性で守ってきたものが表へと出て、暴力的なまでの想いを引きずり出す。 ――ああ、『運命』だ。  悠衣が言った言葉が身に染みて、もう、堪らなくなる。  兄弟だとか、『好き』の種類が違うのでは、とか……そういうのが全て、どうでも良くなる。  抗えなくなった膨れる感情に、遂に柊は、白旗を上げた。 「一度始めたら、止められませんよ?」 「うん」 「泣いても、嫌だと言っても、もう引き返せませんからね」 「うん……これは、僕が望んでるんだよ? 嫌なんて、言うわけない」  距離を離し目線を合わせながらそう言った。  通じ合った気持ちを確認するように、互いに想いを口にする。 「好きですよ、悠衣」 「うん、僕も。大好き、柊兄」  それが合図だったかのように、どちらからともなくキスをした。 「……あっ」 「痛いですか?」 「ううん、平気」  発情期の間、オメガは普段は濡れない所が濡れ、ローションがいらなくなる。  既に興奮し濡れている悠衣の蕾へ、柊は指を入れた。  上半身裸の悠衣の目の前にある乳首を吸い、下から腕で顔を覆っている悠衣を見上げる。 「感じてきました?」  おちょくるように、柊は悠衣に問いかけた。  最初はくすぐったがっていただけだった場所が、今は喘ぎを漏らす程までになっていた。  柊の問いかけに赤かった顔はもっと赤を深め、「言わないで」と恥ずかしそうにそっぽを向く。  けれどそんな悠衣の腕をどかし、首に手を回した柊は口を引き寄せ、深く口づける。  その間に左手で秘部を浅く入れては抜きを繰り返し、悠衣の気持ち良い所を探った。 「……んぐっ」 「ここですね」  そして微かに漏れた声を逃がさず、柊はそこを攻め立てる。 「あっ……あっ……」  声を必死に抑えようとしているのか、口を悠衣は手で覆った。  そのまま肩に頭をこすりつけられ、柊は動きを早くしていく。 「悠衣……声、我慢しなくていいですよ」 「で、でも……」 「どんな悠衣も、僕は大好きなので」  悠衣からの誘いで始めたこの行為。  けれど始めてみれば、恥ずかしがって顔を隠し声を我慢する悠衣に、柊の胸の中は愛しさで溢れていった。  キスから先の超えてはならない一線を越え、それでも腕の中にあるものを大切にしたくて、ギュッと腰に回した左手の力を強める。

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