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お風呂では頭も体も洗ってもらい、ついでにえっちな世話もしてもらった。湯上りは体と頭を拭いてくれて、服を着せて貰ってから頭も乾かしてくれた。 替えのパンツがないせいで、ダボダボのシャツにノーパン。なかなか間抜けな格好で俺はソファに寝転がっていた。 「なんか飲む?」 「なにあるー?」 「アクエリとコーラ、お茶と水」 「お茶」 俺とりに行けよ!って思った時にはおにーさんがグラスに入ったお茶を持ってきてくれた。 こんな生活してたら俺、社畜に戻れない。 「ゔぅ」 「は?」 「おにーざんのばがぁ」 仕事があるのに、こんな生活してたら仕事に殺される毎日になんて戻りたくない。今日寝て今日に戻ってきたい。明日なんて来なくていいから月曜日が来ないでほしい。 「やだぁあ仕事いぎだぐないい」 「おいっ、抱きつくなっ」 俺に抱きつかれたおにーさんはグラスのお茶をテーブルに置いて、俺の頭をヨシヨシと撫でた。うう、やっぱり仕事に戻りたくない。もうやだ。 「おにーざん」 「なんだよ」 「俺が過労死したら戦ってね。ペットの人権損害だって戦ったね」 「おお、そうなりゃ俺がお前の人権損害でお前の親に訴えられるわ」 「戦ってよお!」 「誰とだよ」 そう言いながらもその手は俺を撫でてくれる。 この人の手、本当にあったかい。体もポカポカしてる。 あったかくて柔らかいペットが欲しかったけど、俺が手に入れたのは俺の飼い主。俺はペットを買ったんじゃなくてペットになった。それでもここはあったかい。 「ねー」 「今度はなんだ?」 「おにーさんは俺の飼い主だよね?」 「そうだな」 「ご主人様って呼んだほうがいい?」 「………」 なにやら真剣に考えてるらしいおにーさん。今更変えれる気はあんましないけど、一応ね。 「どっちでもいい」 「ならおにーさん。もっと、もっと撫でて」 「お前、ほんと懐くというか甘えるというか……」 「飢えてるの」 グリグリとおにーさんに体を押し付ける。 おにーさんは呆れながらも俺のことを撫でてくれて、その手に少しずつ意識が微睡んでいく。 「眠い?」 「んん、もお寝る」 「歯磨きした?」 してないと首を振ると洗面台に連れてきてくれた。歯磨き粉を乗せた歯ブラシを渡され、仕方なく磨く。 おにーさん、こういうところまでしっかりお世話してくれるんだね。俺1人だったらこのまま寝てた。歯医者に行く暇もないのに、俺自分でどんどん自分を追い詰めてた。 歯磨きが終わった頃にはボロボロ涙が溢れていて、おにーさんはまた俺を抱えて寝室に移動した。 「ゔぅ、俺ぇ、ほんどにだめなやづだあ」 「なにが」 「ゔぅ、おにーさん、拾っでぐれでありがどおお」 絶対にぐしゃぐしゃになった顔、布団にもシャツにもパジャマにも涙と鼻水ついてるだろうにおにーさんは何も言わずに抱き締めて背中を撫でてくれた。 「頑張りすぎ。今は寝てろ」 おやすみ、と言ってくれた言葉よりも。おにーさんの暖かさが俺にとっての睡眠導入剤。 人肌を感じで眠るのなんて久しぶりで、泣きながら寝たのなんてもっと久しぶりなのに、すごくよく眠れたような気がした。

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