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お風呂から上がり、パンツとシャツを着てリビングに行くといい匂いがした。この匂いはカレー!カレーだぁあ! 「おにーさん今夜カレー!?」 「うわっ、びっくりさせんな。今夜はカレー」 「やったぁああ!レトルトじゃないカレー!久しぶりぃ、ゔぅ、おにーざんありがどお」 「変なやつ」 おにーさんにグリグリ頭を押し付けて、横目でカレーをチラ見する。うん、美味しそう。お肉もゴロゴロ入ってる。レトルトじゃほとんどお肉ないんだよなあ。 その横にサラダになりそうなマカロニやゆで卵もある。サラダ付きのカレーなんてもう長いこと食べてない。おにーさん、料理上手でほんと嬉しい。 おにーさんが完成させてテーブルに運んでくれる。手伝おうとしたけど待ってれば良いと言われてしまい、大人しく座ってた。 「食べて良い?」 「どーぞ」 「いただきまぁーす!」 まずはサラダ。俺、卵入りのマカロニサラダめっちゃ好き。ゆで卵がめっちゃ好き。一瞬でなくなったサラダがまだ目の前にあってつい見てしまう。 「………はあ、食えよ」 「やったあ!おにーさんありがと!俺卵入りのマカロニサラダ大好き!」 ため息をついて俺にサラダをくれたおにーさん。 これからは多めに作ってくださいお願いします。 「あんま食わせたら太るかな」 「………太ったら捨てる?」 「どうだろ、分かんねえ」 「ひどい!美味しいご飯のせいなのに!」 「食ってんだから叫ぶな」 「………ごめんなさい」 むう、お行儀のことを言われたら黙るしかないじゃんか。 静かにサラダを食べてカレーも食べる。少しピリッと辛いけどたまんない。ちょっと辛い気もするけど、久しぶりの手作りカレーだから美味しいが勝つ。 匂いがもう美味しいもんなぁ。お肉もいっぱい入ってて、エネルギーになりそう。 「ふあー、ごちそうさまでした!」 「うまそうに食うな」 「美味しいもん」 「そらどーも」 片付けるおにーさんはやっぱり俺には手伝わせない。 ソファに転がってゲームをするか悩むけど、今したら気づけば夜中って普通にあり得て明日からに響く。 手持ち無沙汰になった俺はじいっとおにーさんの観察をする。 いつも澄ました顔してるけど、表情豊か。すぐに呆れた顔をするし、クシャって笑うときもある。意地悪に笑ったり、優しく笑ったりと笑顔も色々見た気がする。 背は高い。170の俺が十分高いと思うんだから180はあるっていうか、四捨五入して190行くんじゃないかってくらいだと思う。 体格はしっかりしている。鍛えてるってわけじゃなさそうだけど、ちゃんと引き締まっていた。うっかりビール腹になんてなってない。 なんておにーさんを見ていて思い出したビール。そして食べてないおやつ!起き上がってキッチンに行くとおにーさんが不思議そうに俺を見た。 「おやつとビール!」 「ケーキとビールっていけんの?」 「うん!どっちも大好き!」 いそいそとおやつとビールを貰ってイスに座ってケーキを食べる。ああ幸せ。こうしてケーキ屋さんの生菓子を食べるのも久しぶりだ。幸せを噛み締めてたら途中でしょっぱくなって、また泣いてる自分に気づきながらケーキを食べ切った。どうやら俺の涙腺は壊れているらしい。こんなに泣き虫じゃなかったはずなんだけどな。 「ずびっ」 「飲むか泣くかどっちかにしろ」 「………ずびっ」 どっちも止められない。 ビールは大好きだし幸せに涙は止まんないし、このままでいい。 「おにーざぁん」 「なんだ」 「おれ、いい子でいるから飼っててねえ」 そんなお願いをしてからの記憶はぷっつり途絶えていた。 お酒には強くないし、気を張って飲んでるわけでもない。ぐでんぐでんになっていい場所で飲むお酒は、俺を眠りに案内するらしい。

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