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「せーえき、出させてぇっ、痛いの、やだあ」 「このまま出るって、出してみ?」 「むりぃ、あっ、出なっ、出ないいっ!」 出そうだけど痛くてヒュンってなるんだって! そう言ってやりたいのに口からは悲鳴とも喘ぎ声ともつかないようなものしか出なくて、快感と痛みの共存におかしくなっていく俺の体。 痛いと言うたびに気持ちいいだと言われて、なんとなくそんな気もしてくる。痛いはずなのに、訳わかんなくなった俺の頭はこれが気持ちいいだと思い始めた。 「ふぁっ、まっ、ダメぇっ、出ちゃ、せーえき、出ちゃあっ!」 「ひああぁッ!!」 もう出る、と亀頭が膨らんで出る瞬間、おにーさんが乳首を思いっきり噛んだ。俺はそのまま、叫ぶようにいった。 トプッと後から溢れる精液まで出してくれたおにーさんがぐったりする俺を覗き込んだ。 俺を見るおにーさんの顔は意地悪く歪んでいた。 「気持ちよかった?」 「ゔぅ、わがんないぃ。痛いもん、乳首痛いもん」 「そうか?精液はちゃんと出せたじゃん」 「ゔぅ、、それは……」 「いい子」 珍しく優しく笑って、頭を撫でてくれた。そうされると落ち着いてきて、落ち着いたことで気がつく。おにーさんの膝の上に座り込むような状態で、俺のお尻に当たるものはおにーさんのもの。 気づくとなんとなく居心地が悪くてもじとじ体を捩る。 「お前動くな」 「やあっ、だってぇ、おにーさん、の当たってるっ!」 「そら勃つわ。ほら、お前は風呂浸かれ」 「うぶっ、ちょっ!雑!」 軽々と俺を湯船に入れる。入浴剤で足がつるんと滑りそうになって浴槽のふちに掴まってなんとか耐えた。 そうして今から体を洗うらしいおにーさんを見ると、やっぱりおっきしてる。俺、男性経験って自分のオナニーくらいしかない。自分より何倍もうまいおにーさん。俺が頑張る、とか言ったって中途半端に長引かせるだけで意味がない気もするし……。 「なに?」 「うーっと、、おにーさんはいいの?」 「お前下手そう」 「ぐうっ、その通りだけど!」 「いいよ、もうちょっとしたら教えてやるよ」 「へっ?」 「俺好みに、な」 ニヤッと嫌な感じに笑うおにーさん。 「おにーさんって、その、さでぃすてぃっくだったりする?」 「今更?」 「俺、まぞひずむじゃないよ」 「知ってる。躾けてみようかと思って」 「はい?」 「まあその辺、契約内容の確認になるから風呂上がってからな」 「へっ!?」 おうのう。おーまいがー。 俺、もしかしてやっぱり飼い主間違えた? 少し考えるうちにおにーさんも湯船に入ってきて、後ろから抱き込まれる。一緒にお風呂に入るといつもこの体勢。 色々考えてたはずなのになんかどうでもよくなって、もたれ掛かってゆっくり体を温めた。 お風呂あがりにシャツとパンツを来たら冷蔵庫にダッシュした。俺のプリンが待っている。平日はおやつ無かったし、久しぶりのおやつ! 「プッリンーっ」 いそいそと冷蔵庫を開けてプリンを取り出す。スプーンですくうとトロトロのプリンが美味しそう。食べてないけど美味しいのがわかるよぉお!このためだけに俺は1週間頑張った! 「うんまぁい。さいっこお」 「そんなうまい?」 「うんんっ、幸せ」 「本当やっすいな」 何て言われようとも幸せ。 こんな風にプリンを食べる余裕すらなかったこれまでになんて戻りたくない。 けど、けどなあ。おにーさん、さでぃすてぃっくだなんて聞いてない。 「なに?」 「むむ、契約内容の確認をって思ったけど、まずご飯!おにーさん夜ご飯!」 「はいはい。座って待ってろ」 椅子に座ってご飯を待ちながら、確認したいことを考える。 最初に言ってた1日3食、おやつ付きは満たしてもらってるし、食事に洗濯、掃除も全ておにーさん。 当初言ってたように体は好き勝手されてるけど、それもなんか思ってたのとは少し違う。うーん……… 「唸ってないで食えば?」 「あ、うん。うわぁ!冷やし中華?」 「暑くなると食いたくなるんだよ」 「分かるー!俺も好き!いただきまぁす!」 縮れた中華麺にゆで卵、チャーシュー、きゅうり、キクラゲ、もやし。具も豊富ですっごくいい。さっぱり食べやすくて食べてるのか飲み込んでるのかわからないスピードで俺の胃袋に吸収された。 「ふあー、お腹いっぱぁい」 そう言ってゴロゴロソファに転がっていてもおにーさんは文句ひとつ言わない。こうした自堕落な生活ができるなんて本当に幸せ。 片付けを終えたおにーさんが俺の足を少し押してソファに座る。せっかく伸ばしてたのになあと思ったら膝の上に足を伸ばさせてくれた。 「これからどうすんの?」 「うんー……」 俺の足を撫でながら尋ねてくるおにーさん。 主語がないけど、それは俺が今後もおにーさんに飼われるかどうかってこと。それと飼われるなら契約内容の確認をしようってこと。

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