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俺の飼い主はどうにもさでぃすてぃっくな人だった。 痛いことをするし、お漏らし寸前まで人を追い詰めるし、なんか縛る趣味もあるらしい。もっと言えば縛るってどこを!?って聞きたい(聞きたくないけど)。 「時間かけて飼うつもりだからそんな怯えんな」 「どうしてまぞひすてぃっくな人を飼わないの」 「そういうのは飼うって言わねえよ」 ??? 全然意味がわからなくて首をひねる。おにーさんはもともとマゾな奴虐げたって楽しくねえよとニンマリ笑った。 虐げるって、え、俺の思う意味で合ってる? 「痛いだけはやだ」 「痛いだけだった?」 「………」 ふるふると首を振る。お尻の中は痛いって思うのに、体は萎えるどころかどんどん硬くなって大きくなった。乳首だって抓られて引っ張られて噛まれて痛いのに、それでも他の気持ちよさが勝った。おちんちんの先っぽ、尿道をグリグリいじめられてもそうだった。おにーさんがすることは、どれも痛いはずなのにほかの気持ちよさの方が強くておかしなる。 そんな俺を満足そうに見て、おにーさんは寝るかとベッドに上がる。 「眠くない?」 「寝れる、けど」 「おにーさん、出さなくていいの?」 「平気。なんかしたいなら好きにすればいいけど、下手なことしたら止めてやれねえよ」 「おにーさんって、鋼の理性?」 「はあ?」 だってさあ、相手が裸で前戯に近いようなことは普通にしてるってやりたくなんないのかなあって思うわけ。そこまで性に貪欲だとは思ってないけど、こんなことしてたら入れたくなる、と思う。 「入れたくないとは言わねえよ。けど、どうせなら最大級に好みにしてから食いたいだけ」 「やっぱり性格わ……歪んでるね」 「学習能力が高くて助かるわ」 性格悪いって思うけど、そう言ったら痛い思いをした。だから本人も言う歪んでるという言葉を使う。歪んでるどころじゃないと思ってるけどそれも言わない。 おにーさんを見ると時間も経って落ち着いてるみたいだし、変なこと考えずに俺も寝よう。もぞもぞ動いてベッドに上がりおにーさんに擦り寄る。 「………はあ、まあいいか」 「?おにーさんおやすみなさい」 「はいはい。おやすみ」 裸に触れるシーツが心地よくて好き。 隣にある温かい人肌も好き。 邪魔だろうに抱きつくように眠ったって文句ひとつ言われたことない。 今日も遠慮なく抱きついて眠った。 翌朝、起きると隣にはおにーさんじゃなくて俺の着替えであろうシャツやパンツが置かれていた。それを着てリビングに出ると、いい匂いが広がっている。 くんくん なんだろう、何か焼いてる?炒めてる?そんな音は聞こえるけど、なんの匂いだろう。とりあえずいい匂い。 「おにーさんおはよぉ」 「おはよ」 「おにーさんいいお嫁さんになれるねえ」 「貰うことはあっても貰われる予定はねえよ」 そっかあ。って待って、おにーさん!俺を飼い殺すっていつまで??? 「おにーさんが結婚しても飼ってくれる?」 「それおかしいだろ、お前頭大丈夫か」 「俺のこと飼い殺すって言ったのに!」 「言った俺もバカだけど、飼い殺されるつもりのお前もバカだな」 「俺のことただの社畜にしないで!」 「ちゃんと飼われてんじゃん」 「あんなブラックなところやだっ!」 「そんなところにわざわざ就職したのはお前だろ」 こんなにブラックだって知らなかった!と文句を言いたかったのにそんなの出てきた朝ごはんに全部引っ込む。トーストとオムレツ、野菜スープ。炒めてたのはオムレツかあ。卵料理なんて長いこと食べてなかった。具を切って中になんか入れるなんてそんな手間かけたオムレツなんて、作る余裕一切なかった。 「ゔぅ、泣きそう」 「慣れろ。流石に平日これは面倒だけど」 「おにーさんが作るの、全部美味しい。今度卵かけご飯作って」 「それ、作ってねえだろ」 「俺、白身入れない派だから。黄身だけね」 卵かけご飯も立派な料理。だってそれのレシピ本だって売ってるんだもん。一人暮らしに張り切って買ったっけ。でも卵かけご飯ですら作る時間がもったいなかった。 朝から美味しいオムレツを食べて、ゴロゴロできる俺の貴重な休み。朝から幸せを噛み締めた。

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