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45.
いつもと変わらず働くお盆を過ごし、暑い夏を超え、残暑が厳しい季節に変わっていく。9月の終わりに俺は振替休みを取って引っ越しをして、その週末におにーさんがどこかに連れて行ってくれるらしい。
相変わらず俺はおにーさんにご飯を作ってもらい、掃除をしてもらい、洗濯をしてもらいゴロゴロできる実に快適なペット生活を満喫している。
エッチなこと以外は、実に満足している。
エッチなことはそりゃ気持ちいいんだけど、自分でする気にならないほどおにーさんにされるのは気持ちいいんだけど、おもちゃがやだ。
どれほど嫌だと言ってもおにーさんはこれだけはやめてくれなくて、さらに俺をおかしくさせた。
いつも最後にするおにーさんへのご奉仕。
ある日これを入れたら奥まで十分に届いて、太さも十分なこれを出し入れしたらきっと気持ちいいなんて思ってしまった。そう思ってからはおにーさんとエッチなことをするのは気持ちいいけど物足りなさが残るようになった。
細いバイブだともっと太いものを入れてって思うし、太いプラグだともっと奥まで突いてって思う。どっちを使われても俺は物足りなくて、きっとそれを満たしてくれるであろうものをおにーさんが持っている。
これは完全におにーさんの策略だ。
俺がねだるのを待ってる。思い返せばそうだった。バイブもおにーさんのと同じ長さくらいまでしか突っ込んでこないし、プラグだっておにーさんのものも変わらない太さ。太さか長さどちらかしか選べないおもちゃと、どっちも兼ね備えたおにーさんのもの。散々遊び尽くされてる俺の体は片方だけじゃ足りなくて、どっちも欲しいと欲張っている。
そうして欲張りになったことに気づきながら、引っ越しも翌日に迫るまでを過ごした。
「誠、引っ越し明日だっけ?」
「うん」
「頑張れよ」
「ありがとお」
「振替のためにさらなる社畜になるって、お前の会社やばいな」
「俺もそう思う〜もうヘロヘロ」
いよいよ明日から4連休!+日曜日でトータル5連休!土曜がなんで振替に当てられてるかっていうのは社畜事情だ。仕方ない、俺の職場はそう言うところだ。むしろ振替を取れただけでも有難い。先週から明日の休みに備えて色々と仕事を詰めたもんだから、毎日毎日午前様だった。今日は明日から休みなので単発の小さな検査ばかりしていたため、残業(サービス)はあったものの9時頃には家に帰ってこれた。これで早く帰ってこれたあ!と喜び、おにーさんにおかえりと言われて泣いた。
「おにーさん、なんか好きな食べ物ある?」
「唐揚げ」
「わかった!明日引っ越し終わったら作って待ってるね!」
「やめろ、お前は料理すんな」
「え?なんで?」
「とんでもない唐揚げになるだろ」
「ならないもん」
23にもなるんだから普通に料理くらい出来る。おにーさんほど上手ではないけど、家ではそれなりに好評だった。
どうやらおにーさんは俺の母さんの料理から俺も似たようなものを作ると思っているらしいけど、そんなことはない。
「俺、末っ子だからどっちかって言うとにーちゃん達のご飯食べることの方が多かったもん。普通の料理だもん」
「なら唐揚げじゃなくてカレーにしろ。ルウはちゃんと使えよ。包丁に気をつけろよ、最悪具なんてなくてルウ溶かしただけでいいし。あと火使うから消し忘れに気をつけろよ」
「おにーさん!俺のことどんだけ何もできないやつだと思ってんの!!」
「仕事や勉強は出来るんだろうけど、家庭的な能力においてはものすごく低いだろ」
それでもカレーくらい普通に作れるよ!
いつもおにーさんがご飯作っててくれておかえりって言ってくれるの嬉しいから、俺もそうしようと思ったのになんだかすごく失礼なことを言われている。ちゃんとカレーくらい作れるもん。
おにーさんは本当に渋々と言った感じでカレーを作ることを了承してくれたけど、そんなに不安にならなくてもカレーくらい何度も作ったことがある。ちゃんとカレーを作って褒めてもらおう!
「サラダも作っとくね、頑張る」
「頼むからカレーだけにしろ。頑張らなくていい。怪我しなくて火事起こさなかったらそれでいいから何もするな」
俺、そんなに家事能力ないかなあ。
無理もないか。ここに来てからはおにーさんがどれだけ忙しなく家事をしていても俺はソファに転がってゲームしてるだけで手伝ったこともない。だからこの評価で当然なんだけど、明日はいつものお礼を兼ねてカレーを作って待ってよう。そしておにーさんにおかえりって言おう。
密かに心の中で決意して、その分今日は甘えようとおにーさんに抱きついた。
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