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SAでたこ焼きとアイスクリームを食べて適度にお腹がいっぱいな中、一定の速度で走る車に乗るとダメだった。うとうとしながらも起きていようと頑張ったのに、おにーさんが寝てていいぞと手で視界を暗くしてくれてからはほとんど覚えていない。たぶんすぐに俺は落ちたと思う。 それからどのくらい走ったのか、おにーさんに揺すられて目が覚めた。 「ごめんなさい、寝ちゃった」 「別にいいって」 「着いたの?」 「近くまでな。一応観光地だし1個くらい見てけ」 観光もするつもりだったんだあ。目をこすって辺りを見ると人が多い。有名な神社らしいけど、残念ながら俺は知らない。当然来たこともない。 車を降りて、早速おみくじに向かう。こういうところに来たらとりあえずおみくじを引きたい俺はおみくじに直行したけど、おにーさんにまずは詣れと襟首を掴まれて止められた。こういうマナー(?)をきちんと守るのはえらいと思うけど、今のはちょっと首が絞まった。 「手水舎素通りは目を瞑るけど、お前詣る前におみくじ引くとかバカか」 「いつもそうだもん」 「初詣もか?」 「うん!おみくじ引いて買い食いして帰る」 「何しに行ってんだよ」 「初詣」 「詣でてねえよ」 むむむ、おにーさんそういうのはちゃんとする人なんだ?俺の周りじゃ騒いで楽しんでばっかでちゃんと詣ったことないなあ。おにーさんの見よう見まねだけど、今日はやってみようと連れられるままに詣ることにした。 おにーさんは拝殿の前に立ち、お賽銭を投げて2回礼をして、2回拍手して何やらお願いをしている。おにーさんの願い事ってなんだろうって興味が湧いたけど、それよりも俺も願い事をしよう。同じようにお賽銭を投げて礼をして、手を叩いてお願いをする。 『仕事がもう少し落ち着きますように』 俺の願い事は迷いなくこれ。 願い事が終わって目を開けると、おにーさんに最後にもう1回礼をするんだよと言われて慌てて礼をした。 「おにーさん何をお願いしたの?」 「誠は?」 「仕事が落ち着きますようにって祈ったよ」 「くくっ、願い事は言わねえ方がいいんだよ」 「ええっ!」 そんなの知らなかった!おにーさんの意地悪! 文句を言っても笑うだけで、おみくじ引くぞと言って歩き始めてしまった。むっとしながらもおにーさんの後を追い、一緒におみくじを引く。 「おにーさんなあに?」 「中吉」 「わあい勝った!俺大吉!」 それだけ言って中身を読む。そして、さっき勝ったと喜んだ気持ちが沈んでいった。どこかに括り付ける前に散り散りにして引かなかったことにしたい。 「おにーざんのばがあ」 「はあ?ってお前外で泣くなよ」 「ゔぅ、無理ぃ、おにーざんのぜえだもん!」 「何がだよ」 俺のおみくじをおにーさんに渡して、それを見たおにーさんはしばらくして俺が泣く理由を察する。 仕事、順調に進む。忙しくなる ただでさえ忙殺されそうなのにさらに!?どういうこと!?もう無理い。こんなの大吉じゃなくて凶だよ。 「これ以上忙しくなんの?」 「言わないでえっ、もおやだ、これ以上は無理っ!」 「まあ、飯は作っててやるから」 「おにーさんとのお話は!?」 「毎晩お前の帰り待ってたら俺が寝不足になる」 それは間違いないけどぉ。これ以上忙しくなったら技術部のメンバー全員発狂しながら仕事することになる。いい加減人手を増やしてくれないかなあ。 「おみくじだし当たるとも限らねえだろ」 「………そう、だよね。うん、そうだよね。おにーさんはなんか気になること書いてた?」 「いや、別に」 見せてと言う前に俺のと一緒におにーさんのおみくじも渡してくれて、おにーさんのを眺める。おにーさんのおみくじで気になったところは1つ。 恋愛、この人を逃すな 「おにーさん、恋愛してるの?」 「しててお前を飼うかバカ」 「だよねえ」 うーん、まあおみくじなんだけどさ。こういうのってなんかね、気になる。俺のはどうだったっけ? 恋愛、いい人ですが危うい なにこれ、いい人なの危ないのどっち? 「おみくじって、考えさせられるね」 「そういうもんだからな」 大吉を引いた割にすっきりしないおみくじだったけど、どうか今より良くなりますようにと贅沢なことを思いながらおみくじを結んだ。

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