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おにーさんに抱きつけないのは辛い。 おにーさんに抱きつけないせいでなかなか寝れなくて、しかも早くに起きた。まだおにーさんが隣にいるってことは6時にもなってないはずだ。 だけど、昨日のお仕置きは終わっている。起こすかもなんて全く気にせずおにーさんに抱きついた。冬の朝、暖かい布団の中で暖かいおにーさんに抱きついてものすごく安心する。グリグリと頭を擦り付けてるとくすぐったいというおにーさんの声が聞こえた。 「おはよぉ」 「おはよう」 「もぉお仕置きおしまいだよね?いいよね?」 「いいよ」 「おにーさん、もっとぎゅってして」 はいはいと言いながら、背中に手を回してぎゅうっと抱き締めてくれる。俺はやっぱりこの暖かさが好きだ。 抱きついたまま見上げてちゅーをねだって、昨日甘えれなかった分を取り戻すようにおにーさんから離れなかった。 そんな朝から始まった今週も半ば。 今日も今日とて残業だけど、土曜日に働ける分早く帰れる。おにーさんが起きている時間に帰れることがとても嬉しくてるんるん気分で帰っている。 「ただいまあっ」 玄関で靴を脱ぎ、バタバタと廊下を走り抜けてリビングの扉を開ける。するとソファに座ったおにーさんが出迎えてくれる。迷うことなくおにーさんにダイブした。 「ただいま」 「おかえり」 「………おにーさん、ちゅー」 くすっと笑って、俺の頭を引き寄せてキスしてくれる。ねだらなくても舌を絡めてキスしてくれて、気持ちよくてたまらない。 「んっ、おにー、ぁん」 「腰揺れてる」 「ぅ、ンっ、だっ、てえ」 少し唇を離しておにーさんに指摘されるけど、されなくても分かってる。気持ちよくて熱を持ったって仕方ない。先週末は結局しなかったから、溜まってると言えば溜まってる。 「抜いてやろうか?」 「ンッ、や、だっ」 「自分で抜けんの?」 「っ、むり、だけどぉ」 「だけど?」 「おにーさんにされたら、最後までしたくなるもん」 抜くくらいで終われない。最後までしなきゃ絶対に満足できないって分かってるもん。とは言えいつ夢精するかに怯えてるのも事実。 「おにーさん」 「ん?」 「夢精してもパンツ。洗ってくれる?」 「精液だけ流しとけよ」 「はあい」 最後にもう一度ぎゅってして貰って、おにーさんの上から退いた。ムラムラした気持ちを洗い流すためお風呂に行って、熱いシャワーで誤魔化した。 美味しいご飯を食べて、少しまったり転がっておにーさんが寝る頃に一緒に寝室に行く。俺がそのまま起きててもなにも言われないけど、一緒に寝たいからついて行くことの方が多い。 「おやすみなさい」 「おやすみ」 ちゅっとおにーさんの唇を奪って、隠れるように抱きついて眠る。笑ってるのかおにーさんの体が揺れているけど、俺は起きずにそのまま眠った。 その週の後半、無事に夢精することなく土曜日(当然出勤)の朝を迎えることが出来て、ほっと胸を撫で下ろした。

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