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79.

誠を飼って半年。 初めて見る定時上がりに、まともな連休。俺と同じ日に休みに入り、同じ日から出勤だった。 買い物から帰ってきた初日。誠はいつもの休みと変わらずソファにもたれかかるようにしてゲームをしてはコントローラーを投げている。飽きもせずにやってるゲームはもう何周目か分からず、見てる俺が飽きてるのにやってる本人は今でも楽しそうだから特に何も言わない。 ゲームに飽きるとダイニングの椅子に座り、下拵えをする俺と話したり飲み物を飲んだりして、しばらくするとまたゲームをする。 俺もすることが終わってソファで一息つくと、待ってましたと言わんばかりに誠が近寄ってきた。 「おにーさん」 俺の腰にしがみつくように抱きついてくるのはよくあること。 今日のおねだりはお風呂に入れて欲しいと言うことらしい。1日に何個なんて決まりもなく、ねだりたいときにねだり、甘やかしたいだけ甘やかすのが俺たちの関係。 「やりたいっつてもやらねえぞ」 「なんで!?」 「前にのぼせた奴が何言ってんだ」 お風呂に入れてとねだられることはよくある。まあいいかと入れてやることも多かったけど最近はダメだと返すことばかりだ。最後に一緒に入ったときにのぼせてフラフラになっていたからこりゃダメだなって俺が思ったのに、本人は気にしてないらしい。 「換気しながらならいける!」 「お前が盛んなきゃいいんだよ」 「だってえ!おにーさん裸なんだもん!」 「風呂なんだから当然だろ」 誠は面白いくらいに俺を見て欲情する。分かりやすいその顔にゾクゾクする。俺はそんな顔に煽られてつい乗せられてたけど、のぼせるなら話は別だ。安全管理も俺の役目だし、そう無茶してやるもんでもない。普通にベッドでやればいいだけの話だし。 渋々でも折れるかと思ったのに、我慢するから一緒に入ろって言う誠にため息をつきながらはいはいと返した辺り、俺も大概誠に甘い。 我慢が苦手な誠が風呂の中で必死に耐える様子はかなり面白かった。どう見たってなんかしたくてされたくてしゃあねえって顔をしてるのに、それでもきちんと我慢した誠は躾が行き届いているらしい。 「おにーさん、俺、いい子だった?」 「いい子だった」 だいぶ怪しかったけど、何もすることなくお風呂に入っていたし抱きついてくる誠を撫でてやると嬉しそうに擦り寄ってくる。 「誠って案外性欲強いな」 「んー、どぉなんだろ。俺、おにーさんとエッチする頻度で彼女としたいって思わなかったし。おにーさんが上手いからかなぁ」 「女とちゃんとやれたの?」 「失礼な!出来たよ!」 「へえ、いけた?」 「いけた、けど」 「けど?」 「………今は無理かも。俺、おちんちん突っ込まれなきゃ満足できそうにない」 それが俺のじゃねえならお仕置きだけどな。 万が一にもそうなったらただただ厳しいだけのお仕置きだ。 「俺、おにーさんにずっと飼われてたい。初詣はそう願おうかなぁ」 「たった一度詣って一生分願うとは図々しいな」 「いいじゃん、お賽銭は弾むよ!」 「そんな現金な話ししてんじゃねえよ」 「うーん、なら来年も飼っててもらえますように?再来年の分はいつ願えばいい?」 誠って、頭はいいはずなのにたまにバカ。 俺は捨てないってずっと言ってんのにそんなん願わなくても別にいい。 誠が出来ない家事をして、甘やかしてたまにセックスして。関係がこのままだろうが変わろうが、俺とこいつがすることはたぶん変わらない。 誠の初詣のお願いは何にしようなんてどうでもいい話を聞きながら、ご飯の仕上げに入る。ちょこちょこカウンターに出すと机に置いてくれる誠。たまにつまみ食いしてるのは見えてるけど、特に何も言わなかった。 そうしてご飯を食べ始めてまだ数十分。 缶ビール1本目のはずなのに誠はすでに頬が赤い。呂律も回ってるしツマミも食べれるけど、顔を見ただけで酔ってることが伺える。 「お前、それで酔えて幸せだな」 「うんー、ふふっ、いいでしょお」 いや全然。そんなこと言ってもたぶん拗ねるだろうから何も言わない。だけど酔い潰れて寝て、目が覚めるといる場所が変わってることが何度もあってどうして飲む気になるのかは理解ができない。 ビールを飲みつつツマミを食べて、誠が完全に出来上がるのにそう時間はかからなかった。

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