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98.
夕方、最近はいつも1人で入れって断られるのにお風呂に入れてっておねだりしたらいいよって言ってくれた。
「おにーさんシャンプーして」
「はいはい」
珍しいなあ。
1回のぼせてからはおにーさんはあんましお風呂に入れてくれなくなった。こうやって人に洗ってもらうの、気持ちよくて好きなんだけどなあ。
「あ!」
「なんだ?」
「今度ミホちゃんに髪洗ってもらおうかなあ」
「どこで?」
「シャンプー台とかないもんね……お風呂?」
「それは嫌」
頭を丁寧に流してくれて、今度は体も洗ってくれ……?
あれ、おにーさん何持って………?
「やだっ!嫌って言った!」
「俺はいらないって言っただろ」
「俺の体!」
「お前の体は俺のもんだろ」
待って!もしかしてこのため!?このためにお風呂入れてってねだっていいよって言ってくれたの!?逃げたい俺に失言だなと笑ったおにーさん。なにが?と考えてすぐに気づく。おにーさんはここに立つのがミホちゃんなのを許さない。ちょっとした(俺にとっては全然ちょっとじゃないけど)お仕置き感覚かもしれない。
おにーさんが手に持つものはクリームと剃刀。なんかいつか見た光景だけどこれはやだ!どこを剃る気かも分かりきってる。
いやいやと後ずさってみてもお風呂場なんて狭すぎて場所がない。
「い、いやっ」
「薄い方だし大差ねえよ」
「大差あるんだよ!これでも生えたの!生えるの遅くて中学の時すっごい恥ずかしかったんだから!」
「可愛いと思うけど」
「やだやだやだあ!」
「俺以外に見せる予定ないだろ」
「な、ない、けどぉ!」
「なら良いだろ」
いやいやいやいや!何が!?
トイレは?トイレ!俺は……と言うより結構な人がわざわざパンツやズボンの穴から取り出して用を足したりしないよね?パンツごとずらしてトイレしてんのに剃られたらいちいち個室じゃん!
いやいやと首を振って足をぎゅっと硬く閉じる。全力の抵抗をしている俺。おにーさんが無理やりやってきたなら絶対勝てないんだけど、おにーさんはそんなことはしない。
手に持ったものを端に置いて、俺の体をそおっと撫でて、俺が折れるのを待つ。
「もお23だもん」
「知ってる」
「………せっかく生えたのに」
「俺にしか見せないだろ。だったら、俺の好きなようになんのも良くね?」
「………」
「すっげぇ可愛いと思うけどなあ」
するい。ずるい。
こんな時に甘ったるくお願いをするなんてずるい。
「ぜ、絶対切っちゃダメだよ!?」
「分かってる」
「ほんとに?ほんとだよ?」
「傷を残すようなことはしない」
ううっ、もお泣きたい。
なんで頷くんだよ俺のバカ!そうなることが分かってたおにーさんは俺が頷くとニンマリ笑って俺を浴槽のふちに座らせる。
「おにーさん、さよならの挨拶させて」
「くっ、ははっ、そのうちまた生えるって」
そんなこと言うけど、おにーさんのことだ。なんだかんだ定期的に剃られる気がする。1回だけって言ったから、それは全力で抵抗はするつもりだけど、きっと俺はおにーさんの甘ったるいお願いに弱いからそのうちは生えるってことは、そう簡単に来ないと思う。
剃刀の刃が当たって、本当に本当に切っちゃやだよと念を押すと、分かってるから動くなって怒られた。
クリームのお陰で肌の上をスッと通る剃刀。ついでになんかジョリって音も少しして、見たくなくて俺は見ない。もおやだ。裸見られるのはまあ、恥ずかしけどそういうことしてるし仕方ないって感じだけど。これは全然違った恥ずかしさだった。
「やっぱ、ないのいいな」
「すーすーする」
「そのうち慣れる」
そっと自分のそこを触ると、当たり前だけど今まであった下生えがない。当たり前だ、剃った(剃られた)んだから。
促されてお湯に浸かり、自分を洗い始めたおにーさんを眺める。当然、おにーさんのそこはちゃんとふさふさだ。
「おにーさんは生えてるのに……」
「普通剃らねえよ」
「理不尽……」
「気にすんな。誠にはその方が似合ってる」
「ぜぇったい褒めてない!」
こんなツルツルが似合うのは小学生だよ!
おにーさんと比べたら背は低いだろうけど170はあるし、年だってもう23!こんなのが似合う年齢を通り過ぎてる。ふんだ!
さっと体も洗ったおにーさんが湯船に入って、後ろから抱き込まれる。大層気に入ったらしいおにーさんは何にもなくなった俺のそこを触る。優しい手つきだけどくすぐったいし、そんなところはちょっとダメだ。
「おにーさん触っちゃやだ」
「なんで?」
「むずむずするもん。おっきしたって抜いてもくれないの分かってるもん」
「お前がのぼせるからな」
「意地悪」
「意地悪しろっつったのはお前だろ」
「こおいうことじゃないっ!」
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