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「なんか慌ただしかったね」
「そうだな」
「ふふっ、穂高さんも嬉しそうだね」
「まあ、な。あとは穂波だな」
「穂波ちゃんも心配だね」
ミホちゃんほど遊んでないにしても危ない。たぶん今年からは研究に追われてそう遊びどころでもないと思うけど心配しなくていいわけじゃない。
さでぃすてぃっくな性癖を否定したりはしないけど、ああいう遊びはやめた方がいい。なんと言っても女の子だ。やり合ったことはないけど、背がそう変わらなくて俺の方が痩せてしまって細いかも知れなくても、本気でやれば抑えつけることは可能だと思う。もちろんそんなことはしないけど、どうしたって穂波ちゃんにはそういう危険が付いて回る。
性癖ゆえに恋愛するには不向きなのかなぁ。
「穂波ちゃんも性癖はあれだけど、いい子なのにね」
「加減を知らねえのがやばいんだよ」
ああ!そうだった。
穂波ちゃんは性癖プラスそれもあった。
加減は、分かっててくれないと困る。おにーさんがしたいと言うならたぶん俺はいずれ受け入れることになるにしても体の機能的に壊されたら困る。
「穂波ちゃんって、どんな子が好きなんだろ」
「好きなタイプで言えば穂積と似てる方だと思うけどな」
「ほほぉ。あ!そうだ!おにーさんの好みのタイプは?」
「はあ?」
「ちなみに俺はね、可愛くって胸がたわわで柔らかくってあったかくて優しくてまるい子!」
「喧嘩売ってんのか?」
「違うよおっ!」
そう怒った様子のないおにーさんはそうだなあと少し考えてから、細身で従順で可愛げのあるやつといった。女の子らしい特徴も、男らしい特徴もなく完全に中身の問題だ。
「けど別にそうじゃねえなら躾ければいいだけだろ」
「…………」
「お前はその辺最初っから合格だけど、痛いのがダメなのをわざわざ育てんのも楽しかったよ」
「穂高さんってブレないね」
おにーさんは好みの人を好きになるより好きになった人を大事にしたいと言うわけでもなく、好きになった人を好みに変えればいいと考えている。理に適っているような適ってないような、だけど実におにーさんらしいその考え方に俺はくすくすと笑う。
「穂高さん」
「なんだ?」
「今日もちゃんと躾けてね」
「はあぁ、お前ほんと………いい子」
そう言ったおにーさんは俺の顔を強引に上げて唇を奪って行く。うん、おにーさんはやっぱりこういうことする。ちょっと乱暴な手つきなのに痛くはなくて、むしろこうして少し乱暴にされることにキュンてする俺はドキドキする。
俺が抵抗しないこと、こうされてドキドキして、興奮するから成り立つ行為。
もし俺がこれに抵抗して、怖がって、嫌だというなら絶対しちゃダメなことで、おにーさんはそういうのちゃんと見てる。俺が嫌だということに関しては、俺が折れるまできちんと待つ。
おにーさんは人を育てるのと、堕とすのが本当にうまい。
基本的に優しく甘やかして、たくさん飴を与えて思考回路まで溶かされる。俺はたぶん、この人がしたいと言ったなら結局何だかんだ流される。
だって分かってる。
やってみてどうしてもダメな時、おにーさんはちゃんと気づいてくれる。そして、そんな時に無理強いはしない。
「穂高さんに出会って俺の頭は本当にバカになったんだよ」
「ん?」
「こうやって強引にちゅーされるのも、抑え付けられるのも、ゾクゾクする………」
おにーさんの体に自分の体を擦り付けるとぶつかるもの。俺のおちんちんは既に硬くなって、この先を待ち望んでいる。
今の俺はきっとすごくねだるような顔をしてるけど、そのまま見上げた先に居るおにーさんは意地悪な顔をしている。その顔を見ると分かる。
今日もきっと、いじめてくれる。
俺はそれが嬉しくて、やっぱりその体に抱きつくのだった。
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