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225.おにーさんサイド

ベッドに入り、おやすみと声を掛けるとあっという間に寝息を立て始めた誠。 ついさっきまで乱れていたとは思えない、子どもみたいな顔して寝る誠。無茶をさせた気もしなくはないけど、一応同意の上だからとあまり気にしない。 起こさないように気をつけてベッドから起き上がり、用意したプレゼントを片手に少し悩む。 あまりに重い気もする。だけどこいつの事だからけろっと受け取りそうな気もする。 縛りたくて仕方がない。 誠の事だから多分それも受け入れるだろうけど、それでも悩むことも多い。どれだけ悩んだとしても、何を捨てたとしても俺は誠を選ぶんだろうけど。 寝てる誠に勝手にプレゼントを渡して、俺にすっぽりおさまる誠を抱えるようにして俺も眠った。 翌朝、起きた俺は誠につけたものを見て1人満足する。 完全に俺の自己満足。それでも俺の中の独占欲は満たされた。 朝の誠はバタバタしているからかそれに気づくこともなく、元気に行ってきます!と家を出て行った。 どうせあいつのことだから仕事中に気付くだろう。 誠から少し遅れて、俺もゆっくりと仕事に向かった。 出張の報告書を書きながら、今日の仕事をこなしつつ出張に連れて行った後輩の面倒も見る。初めて書く報告書に書式だのなんだの教えることが多い。 そしてこんなときに一緒に行った同僚の梶は俺今日はほぼ1日出てるから〜夏目よろしく〜なんて軽い言葉を残して外に出た。 と言っても出張の時と違ってそれほど鬱陶しくはない。 それなりに頭は働くのか、俺のことはさっさとフェードアウトしてくれたようでホッとした。 面倒なのは嫌いだし、何より誠に誤解させるようなことはしたくない。 それで勝手に不安に思って俺を信じないなんてバカなことになるくらいなら、こっちを多少キツく突き放すくらいは余裕でする。 泣いて縋り付くくらいじゃないと俺には響かない。 今じゃそうされても誠には敵わねえだろうけど。 少し面倒も多いけど、それでもいつもと変わらず仕事をして、昼休みが終わって少しした頃にスマホが震えた。 『意地悪!!!』 とそれだけ書かれたメッセージと、その後に送信されて来た写真。誠の手と、寝てる間につけたプレゼントが写っているそれ。どうやら気付いたらしい。 くすっと笑って、付けとけよと返事を打つと重くて外せないなんて言葉と、石に押しつぶされそうになってる何かのスタンプが送られて来て1人ひっそりと和んだ。 その日は誠にしては早く帰って来て、9時前に玄関が開いた。そしてバタバタとリビングに駆け込んで来た誠は俺に抱きつくなりズルイと文句を零した。 「もおぉっ!ずるいよ!なんで!?起きてるときに付けてよおっ!」 耳まで赤くして、抱きつきながらも文句を言う。そんな誠の左手には文句を言っても外すことなく付けているそれ。 「こっぱずかしいだろ」 「それでもっ!仕事でゴム手袋しようと思ったら見つけて悲鳴飛び出そうだったんだから!」 「叫ばなかったんだ?」 「何とかね!ビーカーに当たって割っちゃったから始末書書いて来たけど」 「暴れすぎだろ」 「びっくりしたんだってば!」 それにしても驚きすぎだろ。 でも悪いことしたな。んな驚くか? つーか普通朝気づくと思うんだけどな。 「穂高さん待っててね!」 「なにを?」 「お給料3ヶ月分はちゃんと貯金あるし、指輪買うから待っててね!」 「何でお前が買うんだよ」 一応それ対になるやつあるわ。 そういうラインで選んだんだから。 ただ指輪なんて贈ったことも贈りたくなったことも初めてで、結局誠の分しか買ってない。 そしてついでに言うとそれは俺の給料3ヶ月分もしない。 そんな飾りもないシンプルなものだとどれほど素材にこわだったところで俺3ヶ月分にはならない。 それこそ、それなりにダイヤとか付けないと俺の給料3ヶ月にはならねえよ。 「穂高さん、俺が贈ったら付けてくれる?」 「だから何でお前が買うんだよ」 「え、俺も男だから?」 「いい。揃えたいっつーならそれの対買う」 「対になってるの!?今度お店連れてって!」 「お前に出させねえよ」 「何でなの!贈らせて!」 「嫌」 誠に買わせるくらいなら自分で買う。 そう言えば、なら一緒に買いに行こうねと約束を取り付けてくる誠が可愛くて仕方なかった。

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