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3人で立ち上がっていそいそと好きなものを取る。 いつもバランスの良い食事をさせてもらってるから今日は好きなものを好きなだけ食べるぞ!と好きなものばかり乗せていく。 流石にデザートだけじゃ物足りないからカレーも取ってきた。 よくあるバイキングじゃ大きなお鍋からカレーをすくうことが多いけど、ここではオープンキッチンの中にいる人に声をかけるとほかほかのご飯をよそって、なにやらオシャレなものにカレーを入れて渡してくれた。 そのご飯の上にぶちまけてくれて良かったんだけど、そんなことを言える場でもなく、俺は大人しくそれを持って机に戻った。 「カレーなんてありました?」 「オープンキッチンで言えばくれるけど、オシャレすぎて俺の中でカレーの立ち位置が上がった」 「ねえねえ!ローストビーフも目の前で焼いたの切ってくれたよ!」 「うわっ、美味しそぉ」 「彩綾まだあった?」 「あったよ」 「ちょっと俺取ってくる」 いってらーと牧くんを見送って、テーブルに並んださまざまなものを並べる。みんな好きに取ってきてるからここだけでも十分に色々ある。 「誠のそれって、貰ったの?」 「へ?あ、これ?」 「うん」 「そぉだよ、誕生日に貰った」 「今は付き合ってるってこと?」 「そぉ」 時期を見て挨拶なんかも考えてるような関係だ。 けどそれはおにーさんの指輪も買ってから!と俺が譲らなかったためちょっとだけ保留中。 素材が素材なため在庫として置いてるのはごくわずかで、注文してからの製作になるらしく1ヶ月ほどかかると言われてしまった。長いなと思ったのと同時に、おにーさんは俺の誕生日のひと月以上前にはプレゼントを考え始めてくれていたということでもあるからものすごく嬉しかった。 「そっか。良かった」 「?」 「誠があんまりフラフラしてるならちょっと根性入れなきゃダメかなって思ってたから」 「もうビンタはやめて!」 「大丈夫、今度はグーで行くから」 グッとガッツポーズをして言われても全然大丈夫じゃない。むしろより痛くなってない? おにーさんのせいで痛いのもだいぶ慣れた気はするけどそれは抓られたり噛まれたりする痛さであって叩く痛さではない。お尻や頭をペチリと叩かれることはあっても、あんな引っ叩くって感じの叩き方はされたことがない。 「母さんをびっくりさせそうだけど、ちゃんと話そうと思ってるよ」 「そっか。誠のお母さんならきっと大丈夫だよ」 「彩綾連れてったときのあの反応は酷かった」 「私は少し恥ずかしかったよ」 「ベタ褒めだったしね」 初めて家に彩綾を連れて行ったとき、あろうことか俺の母さんは彩綾にこんなんでいいの?と言ったのだ。 曰く、そんな美人やのにこんな誠みたいなんに引っかかって良いん!?ごめんなあ、もっとイケメンに生んであげられへんくてと謎の謝罪をしていた。 俺はと言えばこんなん扱いされた上に、あんたなんでイケメンに生まれてこおへんねん!と怒られて散々だった。 「牧くんの家ってどんなだろうね」 「どんなだろうね」 「俺の家ですか?」 「「うわっ」」 次に彩綾が彼女としていくことになるであろう牧くんちはどんななんだろう。この2人の場合は付き合いが続いた場合結婚なんて可能性も十分にあるだろうから良い家族だと良いなぁ。 彩綾の家はちょっとシスコン気味のお兄さんがいたけどいい家だった。俺が酔い潰れて彩綾にお持ち帰りされても、誠くんってうちに泊まるときいつも寝てるのよねぇなんて言われてた。お兄さんとは上手くやれてたようなやれてなかったような、けど陰険なことをするような人じゃ無かった。 「俺の家なんかより伊藤先輩のそれの方がめっちゃ気になるんですけど」 「………へへ、食べてからね」 「なんかさっきもそうして誤魔化しませんでした?」 「誤魔化してるつもりはないんだけど、叫ばれても困るんだよね」 「そんな叫ぶようなこと何ですか?」 「叫びたくなる人もいるかも知れないってだけで、まあそんなに問題ではない」 納得してなさそうな牧くんだったけど、彩綾が今は食べよと声をかけたらそうだねと言ってくれて、ようやくご飯にありつけたのだった。

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