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2-9.

車を走らせる穂高さんにどこ行くの?と聞いても笑うだけで教えてくれなかった。 だけど、ここは間違いなく俺の好きなところだ。 そこを前に立つ俺は呆然としていると思う。 「なんで水族館?」 「ナイトアクアリウム。年越しやってんだって」 「………」 「たまたま知って、チケット買えたからな」 「………」 嬉しくて、嬉しくて、言葉にならない気持ちのまま飛びつこうとしたら避けられた。 それでも言葉にできなかった俺はその場でくるくる回って、危ねえと腕を引っ張られてやっと止まった。 「夜の水族館?入っていいの?」 「騒ぐなよ」 「うんっ!」 やっぱりこんな日だから人はすごく多いけど、昼とは違った綺麗さだった。 夜の海ってこんな感じなのかな、と思う。 静かで、飲み込まれそうな怖さがある。 それなのに、引き寄せられずにはいられない。 見て回れるところは全部回ったけど、夜だから動きの少ないものだったり砂に潜って動かないものも居た。 その全部が新しかったけど、全部回った後、俺は最初に見た大きな水槽を見上げていた。 「綺麗」 「昼とは全然違うな」 「うん。すっごく、綺麗」 うっとりと水槽を見上げる。 夜の水族館は、堪らない。 すごく美味しい夜ご飯に、すごく綺麗な水族館。 そして、夜景が見える広々としたお風呂。 もちろん、穂高さんと一緒に入っている。 アメニティのソープセットで洗ってもらい、穂高さんが同じように洗うのを見守りながら湯船に入ってみる。 足を伸ばしてもまだ余裕がある広々とした浴槽に、少し遅れて穂高さんが入って来る。 俺を後ろから抱え込むようにぎゅってしてしてくれるその体にもたれかかる。ふわふわと浮いてるみたいな心地よさが気持ちよくて目を瞑る。 「いったあっ!」 うっとりしてたところを急に噛まれて、俺は叫ぶ。 噛んだお詫び(?)にそこを舐められるとゾクゾクと快感が這い上がって来ようとする。 「あっ、まって、お風呂上がってからっ」 「何のためにこんだけ広いと思ってんの?」 「へ?」 「だからわざわざこの部屋にしてんだよ」 「?」 「まだ上にスイートはあるけど、このスイートが1番風呂広いの」 あ、そうなんだあって、違う! 部屋選びの基準は聞いてないから! 最後までしてくれるならいいんだよ。家でなら最後まで絶対してくれないし、お風呂上がって髪を乾かしてからじゃなきゃしてくれないからすっごい焦らされるのだ。 それがないなら別にいい。 「ちゅー、したい」 もぞもぞと穂高さんと向き合い、じっと俺を見るその人の唇にちゅーをする。触れるだけなんかじゃ足りなくて、唇を舐めてその奥に舌を絡ませる。 「はぁっ、んっ」 漏れるのは俺の吐息だけで、しばらくするたタイムアップというように穂高さんに舌を甘噛みされた。甘噛みでも舌は少し痛くて引っ込めると、俺の頭を支えて穂高さんの方から深いキスをされた。

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