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2-22.
「そこ、来週にでもモデルルーム見に行く?」
「うんっ!行く行く!」
そんな会話をしたのが先週末。
全員が復帰して、少し落ち着きを見せたこともあってインフルになったメンバーが気を遣ってくれて、ゆっくり休んでと俺は連休を貰えた。
そんな土曜日、俺は穂高さんの運転する車に乗り、モデルルームへと向かっていた。
見に行かなきゃ始まらないし、このパンフレットみたいに中をオーダーできる場合分譲申し込みの締め切り日が記載されている。
そうは言っても、まだ先の日付。
どこまで急げばいいのか分からないけど、穂高さんのお母様曰く見に行くほどに悩むわよということらしい。
「俺こういうの行くの初めてなんだけど、どうしたらいいんだろ?」
「静かにしろ」
「俺おとな!」
「はいはい、大人なら静かにできるよな?」
「できるもん」
小学生じゃないんだからそんな言い方しなくてもいいじゃんか。大人しくできるもん。
車の中でそう拗ねて、モデルルームのある建物に着いたら拗ねてたことを忘れて首を傾げる。
「………マンションってもっと背が高くなかった?」
「住むのはあっち、今建設中。これはショールームって言って、マンションの一室を再現してるはず」
「そっか。駅近そうだね」
「俺には重要」
「確かに」
建設中の建物を見ながら、そんな話をしていると中から人が出てくる。
「13時に約束していた夏目です」
ご用件は伺っていますか?と尋ねてくれた受付らしき女の人に約束していた旨を伝える穂高さん。
俺はどうにも、こうして丁寧に話す穂高さんには慣れなくて体をムズムズさせる。
「お前慣れろよ」
そう言われても無理だからぶんぶんと頭を振る。
さっきの対応と全然違う人みたいになってるけど、この穂高さんが良い。
案内された席では飲み物もサービスで出してくれるようで、ちょっと驚く。こういうのやってるんだあっていう不思議な感覚。
そうして待つことしばらく、今日の俺たちの担当になるらしい人がやって来て声を掛けてくれた。
「本日担当させて頂きます前田で……す」
「?」
「質問やご不明なことがあればなんでもおっしゃってください」
なんか一瞬間があった?気のせいかな?
担当さんはまだ若そうな男の人だけど、俺みたいにスーツに着られてる感がない。穂高さんほどじゃないけど、ちゃんとスーツを着てる。
「ねえねえ穂高さん」
「どうした?」
「すごいね、まだ若そうなのにちゃんとスーツ着てる。俺みたいになってないね」
「………はあ」
何やらものすごく深いため息ついて、諦めたように俺から視線をそらして乱暴に頭を撫でた。バカ言ってないで大人しくしてろよってことだろう。
「っ」
「どうかしましたか?」
「いえ、なんでもありません。お2人で住まわれるんですか?」
「はい。俺分かんないことだらけでいっぱい聞いちゃうかもしれません」
「大丈夫ですよ、ゆっくり見て行きますし、どういうカスタマイズができるかも案内させていただきます」
わあい!ゆっくり見ていいんだ!と喜んでいたのは俺だけだった。
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