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2-26.

夜ご飯を食べ、お風呂も済ませた後で俺はたくさんのパンフレットを並べる。 俺的には今日行ったところでいいなって思う。 お互いの職場に近くて、駅からマンションまでの間によく行くスーパーの系列店があり、その隣にはドラッグストアもある。 駅から歩いてマンションを通り過ぎて5分ほど行ったところにはメディカルタワーなる病院の建物がある。内科に眼科、耳鼻科に小児科といくつかのクリニックが入っているらしい建物。残念なことに俺は健康診断でしか病院のお世話になってないけど、病院だって生活するには大事なものだ。 「誠なんか不満あった?」 「強いて言えば、」 「うん」 「穂高さんがさでぃすてぃっくだと知りながら見てる人がいるのが大問題だよね」 「アホか。あんなの相手するかよ」 あんなの。 穂高さんにとっては終わったことでも、相手はどうなんだろうなあ。 「他見てみても良いけど、いろいろ考えると結局今日行ったところが無難だろ」 「それは分かる」 「けど、なんであれが居るんだよ」 「そんなに会いたくなの?」 「ちげえよ。お前に会わせたくねえの」 「はい?」 俺?なんで??? もしかしてあの人魔性の男だとかそういうこと? 俺がたぶらかされるんじゃないかって思ってるのかな。 でもそんなの余計な心配だよ。 「俺、今更突っ込んでいけるかな」 「は?お前なんの話してんの?」 「へ?前田さん?が魔性の男ってことじゃないの?」 「ちげえよ。ほんっとバカだな」 「もおっ!」 なんで? え、それ以外? 「穂高さん、実は久しぶりに見ていいなって思ったとか?」 「思うかよ。そんなつまんねえこと冗談でも言うな」 「えええっ、どぉいうこと」 ちょっと意味わかんない。 あの前田さんって人が何を思って穂高さん見てたのか分かんないけど、俺なんか関係あるかなぁ。 そうして頭を捻ってみても正解は出そうになくて、ドMゲーより難しい難題に俺はソファに沈み込んだ。 「あれの問題は置いておいて、モデルルームは満足したか?」 「うん!」 そういえば最初にそれを聞かれたんだった。 俺的にモデルルームにはなんの問題もなくて、あるならあの人だ。穂高さんがそれなりにモテるのは知ってるんだけどさ?優しく穏やかな夏目さんを好きになったなら、後からさでぃすてぃっくで人のこと噛みまくって辱めるところも知ってドン引きされればいいと思うんだけど、それを知ってる人の方が俺的には大問題。 けど、今ふと気になった。 「穂高さん、なんで前田さんのことあれって言うの?」 「特に意味はねえよ。前田っていうのも今日知った」 「どんなお付き合いをしてたの」 「お前もしばらく俺の名前知らなかっただろ」 「聞くタイミングがなくて?」 「そんなもんだ。あれはあれでそれなりに性癖が合えばよかったんだろうから、俺の名前だって今日知ったんじゃね?」 いや、どんな付き合いだよ。 それでエッチはしてたんだよね。ん?あれ?ってことは前田さんまぞひずむな人なの?それはどうでもいっか。 でもでもでも、穂高さん名前も知らないってだいぶひどい関係だと思うよ。 「ねえ」 「なんだ?」 「俺のことも、例えばミホちゃんや穂波ちゃんと話しててあれって言ったりする?」 「しない。誠は誠だろ、大事にしてんの分かんねえ?」 「………」 分かんないって言っていっぱい教えて欲しい気もするけど、穂高さんに嘘はつきたくない。 大事にしてくれてるって分かってる。 「分かってるけど、もっと教えて……」 分かってるけど、教えて。 俺ね、穂高さんにぐずぐずに甘やかされるの大好き。 これが罠だって分かってるんだけど、抜け出す気にならないくらい心地いいの。 だからもっと、もっと教えて。

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