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2-37.
俺のモヤッとした気持ちに気づけば、その分甘やかしてくれるつもりらしい穂高さんのせいで俺は本当にダメになる。俺は甘やかされるのが好きだから癖になって抜け出せない。つまり依存症が悪化していく気がするのだ。
そんなことを感じながら、定時終わりの俺(土曜日にしか現れない奇跡)が家に帰る。穂高さんはすでに帰って来ていて分厚いクリアファイルを眺めている。
「それサンプル?」
「そう。壁紙とかタイルとか、手触りも確かめられるやつ」
複雑。
見たいけど、俺そういうの作るからなぁ。そのために残業とかしてるしなぁと思うと複雑。
たまに自分で作ってて嫌になって投げ出したくなる時あるもん。
「ほら、見てみ?こんな扉の色誠好きそう」
「………」
優しい声でそう言われて、チラッと視線を向ける。
「かっわいぃい〜」
「ぶっ」
見せてくれたページには木目が残った淡いピンク色ですごく好み。こんなの可愛いと複雑な気持ちはどこへやら、嬉々として飛びついた俺に単純と笑う穂高さん。
「これだと水色も可愛い」
「俺は水色の方がいい」
「うーん、あ!歩くたびにピンクと水色が交互するとかは?」
「やめろ、家で遊ぶな」
そうなるよね、分かってた。
俺も流石にそれは遊びすぎだと思う。
「俺、住めば都っていうか穂高さんが居たらなんでもいいもんなぁ」
こういうの見てても、その扉を開けた時に居るのが穂高さんなら扉なんて見てるようで見てない。むしろなくてもいいくらい。
2人で考えたいけど、どうなったとしてもそこに穂高さんと住むならそれだけで十分。
「たまにはまともなこと言うな」
「バカにしてるぅ」
「してねえよ。俺もそう思う」
「へっ?うわっ」
そばに立ったままだった俺の腕を引かれて穂高さんの膝に乗っかった俺をぎゅうっと抱きしめる穂高さん。その様子はどこか甘えているようにも見えて可愛い。俺の目線のすぐ下にある穂高さんの頭をよしよしと撫でてみても抵抗されなかったから、気が済むまで撫でた。
穂高さんは俺のお腹の虫が鳴き始めるまでそのままの体勢で居たから、やっぱり甘えていたんだと思う。
その日はお風呂にも入れてくれて、髪だって乾かしてくれた。そして、夜はその甘い雰囲気のままベッドにもつれ込んで、ひどく、ひどく甘いエッチをした。
このままじゃ俺、本当に穂高さんから離れらんなくなる。
そう思うのに、気怠い身体があったかくて大きな体に包まれるとどうでも良くなってその体に擦り寄るように眠った。
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