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2-49.

ベッドにくったりと沈み、俺ははぁと息を吐く。 穂高さんは俺に手を伸ばして、首や胸を触る。と言っても撫でるような感じで痛みも快感もない触り方だ。 「どぉしたの?」 「………体、平気か?」 「うん。穂高さん、なんで噛まないの?」 「気のせいだろ」 「絶対違うぅ」 「そんな歯形ばっか付けてんのに何言ってんだよ」 「今日のことじゃなくて!」 ほらほら! 明らかに誤魔化してんじゃん、えええ。 「セックスレスだ」 「ぶぶっ、ごほっ」 「?」 「セックスレスの定義は?」 「セックスがレスしてるんだよね」 「相変わらずの語彙力だな」 俺の語彙力はどうでもいいから。 穂高さんのエッチが足りない。甘いばっかりじゃなくて、スパイスも効いてる方がもっといい。 そういうのが、足りない。足りなかった。 「ひどいことも、して欲しぃ」 「お前そういうタイプじゃねえだろ」 「そ、だけど。でもやだ。今日すっごい満足した」 ベッドに座る穂高さんの腰にぎゅうっと抱きついて、噛んでいいよという。優しくて甘ったるいのに、意地悪なのが穂高さんだよ。優しいだけじゃ物足りないなんてひどく贅沢な悩みだけど、ぶつける相手だって穂高さんしかいない。 「俺、穂高さんにならちょっと痛いことされるの好きだよ」 「………結局甘やかされてんのは俺なんだよな」 「へ?」 「なんでもない」 「うん?えっ、あれ?またするの?」 「どんだけ我慢してたと思ってんだよ」 苛立たしげに吐き捨てて、俺の手首を掴んでベッドに押し付ける。あれ、なんか俺変なスイッチ押した?あれれ。 けど、いっか。 甘いだけじゃなくてスパイシーなエッチが足りてなかったのは、俺もおんなじだ。 そうして2人でもう1度ベッドに沈んで、少し乱暴な、穂高さんの欲がぶつけられるようなエッチをした。 その結果、首筋と胸元にあったはずの歯形や鬱血痕はお腹や太ももにも広がり、お尻まで噛まれた。 「やりすぎたか?」 「ううん、すっごい満足」 「俺の我慢はなんだったわけ?」 「なんで我慢してたの?」 「………普通に甘やかしてやる方がいいかなと思ったんだよ」 「そんなの今更だよ、スパイシーなカレーの後にただの甘口食べたら美味しくないもん」 俺的にすごい分かりやすく言ったつもりなのに、穂高さんはさらに訳わかんねえって顔になって俺を見るけど、その顔は穏やかに見える。 「あのね」 「ん?」 「我慢するくらいなら相談してよ。勝手に甘やかされても俺は好きだけど、穂高さんに我慢させたいわけじゃないよ」 「………」 「俺にも甘えていいんだよ」 穂高さんの目を見てちゃんと伝えたけど、穂高さんは俺を見てられなかったのか俺を抱き込んでしまう。 そしてポツリと、もう十分甘えてると言った。

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