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2-85.
じっくりとカーテンを選び、ついでに夜ご飯の材料も買って家に帰ってきた俺はソファに座ってキッチンに立つ穂高さんを見る。
「何?」
「あの、ね」
「どうした?」
「俺とするえっち、満足してる?」
それなりでいいから及第点は取れてるかな。
さすがに不合格ってことはないと思う。それなら穂高さんだってわざわざ俺としないだろうし。
「大方」
「おおかた」
「強いて言えば肉付き悪いのが不満」
「それは体の相性じゃなくて体型の話!」
「別に不満なんてねえよ。やりたいことは……縛る以外はやって来た」
「ちょ、ちょっと待って!今目が据わった!その目はダメなやつ!」
まるで思い出したかのように、穂高さんの目に暗い欲望が灯った。
俺が断固として拒否してきたから縛られたことはないけど(おちんちんを除く)、この目は違う。
「誠」
「やだっ、やだよっ!俺無抵抗なのに!」
「反抗的なのは好みじゃねえよ」
「そぉじゃないぃっ」
「誠ってさ」
さっきまでと声の調子を変えて、迫る口調じゃなくてごく普通なその声にチラッと穂高さんをみる。
「オナニーしてた頃、おかず何?」
「ふおおっ!なに!?なんでそんなこと聞くのっ」
「スマホでAVとか?」
「分かってるなら聞かなくていーじゃん!」
というかそれ以外になにがあるの???
1番手軽で証拠が残んない。
「男って視覚から興奮を得るんだよ」
「はい?」
「つまりさ」
「………」
「お前が縛られて俺にすがってんの、すっげえイイと思わねえ?」
穂高さん視点ならね!!!
俺は!?俺は!?
じっと俺を見る穂高さんに、おずおずと顔を上げて俺は質問をする。
「放置ぷれい、しない?」
「しない」
「絶対?」
「絶対」
「痛く、ない?」
「暴れりゃ痛いかもな」
ど、どうしよう。
穂高さんはこの辺、お仕置きでもない限り無理やりはしない、はず。だからこうして俺に確認をとるわけで。
「変な縛り方、しない?」
「誠のいう変って?」
「亀甲縛りとか?」
「あれ、意外と拘束感は少ねえよ?」
「でも、そおじゃなくて、、」
「しない」
「ほんと?」
「ほんと。今日は手首だけ」
「今日は!?」
今日だけ!と言えば、穂高さんはニンマリ笑うだけでなにも答えなかった。
やだなあ、手首とか穂高さんにぎゅうって出来ない。
普段から抱きついたりくっついたりはよくしてるけど、エッチの時って、繋がったところから溶けるみたいに抱きしめあえる気がして好きなんだけどな。
「大丈夫」
「へ?」
「寂しい思いはさせない」
俺がなんで縛られたくないかも知ってる穂高さんは優しい口調でそう言った。
だけど、だけど俺は気づいてる。
その目はどう俺をもてあそんでやろうと、意地悪く楽しそうに歪んでいたのをちゃんと見てる。
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