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2-93.

いつもより少し滑りが悪い気がしても、そういうことに慣れた体は痛みもなく指の1本くらい受け入れる。それでも俺以上に心配性な人が痛くない?と聞きながら、そこに口付けて唾液で滑りを良くしていく。 「ンッ、ぁっ」 「痛い?」 「ちがっ、ぁ、ちがうぅっ」 違う、痛くない。 そおじゃない。 「ああ、足りねえ?」 「っ、んっ、んっ」 言い当てられて、俺はこくこく頷く。 「増やさねえよ。リビングにローション置いてねえし」 ローション無くても大丈夫なのに!と思うけど、今は譲れないらしい穂高さんが入った指でいいところを抉ってくれる。 「ああっ!ンッ、はぁ、んッ」 「ぁっ、やああっ、あんッ」 気持ちぃ、気持ちいいのにっ。 「ふぇっ、ぁっ、おちん、ちんも、擦ってっ」 指だけじゃいけそうにない。 気持ちいいし、おちんちんはどんどん膨らんでいくのにとろとろ蜜を溢していくだけでいける気が全然しない。 俺の腰を引き寄せていた手がするする撫でるように動いて、俺のおちんちんに触れる。 「ソファだからあんま飛ばすなよ」 「へっ、ぁ、えっ!?ちょあっ!」 え、むりむりむりむり! 「あっ、かばっ、かばんっ!」 「かばん?」 「ご、ゴム、入っ、てうっ、ああっ!」 「ああっ!痛っ!痛いぃっ」 「なんでそんなもん持ってんの?」 「アッ、離、してえっ、痛いぃっ」 擦ってくれていたはずなのにぎゅうっとキツく握られて、痛くて悲鳴を上げる。そんな俺になんで持ってんのと繰り返して聞く穂高さんに、悲鳴混じりに山口さんに押し付けられたと答える。 いらないと言ったのに生でしないならいるから!と強引に押し付けられて持って帰ってきたもの。 穂高さんには小さくてキツくても、俺はレギュラーサイズで十分だし。あれ付けてたらゴムの中から出て行かないって思っただけで、俺自身がそれを使って誰かとなんて考えてもない。 「やっ、ごめ、なさいっ、痛いぃっ、はな、してぇっ」 「なんでそんなもん貰うんだよ」 「おれ、いっ、薬、教えてくれて、ありがとって、あっ」 「チッ」 舌打ちが聞こえたけど、ぎっちり握られていたおちんちんはようやく解放されて痛みが引いていく。 納得してくれたのかは分かんないけど、穂高さんはお尻から指を抜いて俺の鞄を漁る。 「ほんとに出てきた」 「っ、俺、買ってないもんっ」 「とりあえず今使うけど、すぐ捨てていい?」 「ぁ、いいっ、いらないっ、そんなのいらないからっ」 そんなの押し付けられただけでこんな痛い思いするなら要らない。というか使う予定もほんとない。 「つーか普通にいいやつじゃん」 それも知らない。 穂高さんは好んでこのゴムを使ってるのは知ってるけど、どういいのかとか俺にはよく分かんない。ただ、ドラッグストアにも売ってるメジャーなゴムだけど、明らかに他のゴムに比べて値段帯が少し高めということくらいしか知らない。 そんなものを慣れた手つきで開けた穂高さんはそれを俺のおちんちんの先端にぴとりと当てる。 「ひぁっ!」 「あんま動くなって」 「あぅ、ンッ、あっ」 そ、そうだよね! ゴムって先っぽに被せてくるくる下に下ろして…… 「ひぁっ!あっ、やあっ、ぁっ、むりいっ、あぁンッ」 「は………おい」 「ぁ、ごめっ、ごめ、なさぁいっ」 ゴムを付けるのは本当に久しぶりだった。 いつも皮に守られてる俺の先っぽは刺激に本当に弱くて、ゴムを付けるのも慣れるまでキツかった。 痛くない程度にぴっちりしたゴムがそんなところを擦りながら降りていくのは、苦手だった。 「ははっ、ゴムも付けれねえんじゃ女と出来ねえな?」 くったりとソファに倒れる俺には穂高さんの顔は見えない。けど、その声は意地悪く、それでいて楽しそうだからきっと顔だっておんなじだろう。

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