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2-97.

そうして騒がしかったような疲れたような土曜日を終えて、原付に乗って家に帰る。 定時の5時に帰るともう明るいんだなあと思いながら家に着き、がちゃっと玄関を開ける。 「ただいまぁ」 「おかえり」 俺がリビングの扉を開けると、ゆったりとソファに座った穂高さんがこっちを見ていて、俺は鞄を放り投げて飛びつく。 勢いの良さに穂高さんが息を詰めた気がしたけど、怒ることなく受け止めてくれる。 「あったかい」 「なんかあったのか?」 「うーん、パワハラとセクハラの境界線を考えてた」 「パワハラはともかくセクハラは許せねえな」 「どっちも許さないで、お願い」 そう言ってあったかい体にぐりぐりと頭を押し付ける。 パワハラもやだから。 「パワハラはいい。仕事辞めて逃げれば終わる」 「………」 「セクハラは嫌」 いや、嫌なの俺! 「なんかあった?」 「………」 「なんかされてても嫌だけど隠されるのはもっと嫌がんの知ってるよな?」 「………うん」 知ってる。 俺は怒らない?と小さな声で聞くと、内容次第と言われて終わる。 「………山口さんが無駄なくらい俺のお尻の心配をしてくれる」 「ぶぶっ」 「心配からだと思うけど、さわっ、触られたぁあっ」 「その人大丈夫か?」 俺はその言葉に首を振る。全然大丈夫じゃない。 だけど全然大丈夫じゃない人は目の前にもいる。 回した腕をお尻に伸ばして、好きなように触って揉む穂高さん。穂高さんにされるのは別にいいんだけど、その触り方はいつもより荒々しい。 「ここ、触らせたの?」 「触られたの!俺触ってなんて言わないよ!」 「せっかくやわかく育ててんのにな」 「………」 「誠の飼い主誰だっけ?」 「………穂高、さん」 「教えなおす?」 その言葉に、悩む。 穂高さんの躾は甘くて意地悪で、甘ったるい。 その証拠に、さっきは少し痛いくらい揉まれていたお尻は今は優しく撫でられて、お尻の割れ目当たりをそっとなぞっているだけだ。 きっと厳しいお仕置きじゃなくて、甘ったるく俺を堕とすようなことが待っている。 「………ぅん」 俺は本当に素直なものだ。 目の前に甘ったるい誘惑がぶら下がったら、ついつい食いついてしまう。 俺が思っていた通り、甘くて意地悪で甘ったるく俺のことを可愛がってくれた穂高さんのせいで夜はくたくたになったけど、すごく幸せな気持ちで1週間を終えることができた。

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