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2-109.
「誠」
「ん、なぁ、に?」
「ちゃんと自分の体見てみ?」
そう言われて、ずっとどこか遠くを見ていた視線を自分の体に移す。自分で擦ってもたいして反応しようとしないダメ息子は元気そうにおっきしている。
「ゔぅ、やだぁ」
「俺は自分でどうこうしたいタイプだけどさ」
「うん?」
「自分でオナニーさえしない誠がそうしてんのってくるもんあるわ」
そう、なの?
残念ながら(?)、俺は彼女に1人えっちして見せてなんて言ったことも思ったこともない。そういうことをしていてもいいと思うし、してなくてもいいと思う。だけど俺にとっては無理に暴こうと、知ろうとしたことのない領域だった。
「穂高、さんが、してくれた方が、きもちぃ」
「誠が出張行くまでは誠が1人で1回いけてからしか何にもしない」
「………」
そんなバカな。
おかしくない?あれ、これ俺のためというより遠回しに俺のこといじめてない?
目の前でオナニーさせられて、いくことができなかったらそのまま放置されるってことでしょ?
「ほら、ローション」
「うぅぅ」
「皮オナ好きならローション使った方が痛くねえよ。つってもだいぶ濡れてるけどな」
「ひぁっ!ぁ、」
何もしないと言いながら、俺の性器から溢れて来たものを指で撫でとってくるからひどい。もっとしてってゆれた腰を笑われて、ローションだけを渡される。
唸りながらもそうするしかないと分かっているから、ローションを手に取る。とろりと垂れたローションはひんやりと冷たい。いつも穂高さんが自分の手で、人肌に馴染ませてくれている思いやりが嬉しくなった。
「冷たい……」
「そりゃな。尻触る時絶対冷たいまま突っ込むなよ」
「うん?」
「冷やすのは体に良くない」
あ、うん。
その辺はやっぱり無駄に過保護なんだねと諦めに似た思いを感じながらも、少し暖まったローションを纏った手で自分の性器に触れる。
トイレ以外でほとんど触れることのないそこ。今じゃ性的な意味で性器に触るのは自分のものよりよっぽど穂高さんのものを触ることの方が多くて……。
「ちっちゃい」
「ぶぶっ、くっ、おまっ、笑わすな」
「いや、大丈夫、多分、ふつう」
レギュラーサイズのゴムで問題はなかった、はず。
穂高さんが規格外なだけだ、俺は普通だ。
いや、でもなぁ。俺の手が自分のおちんちんを触ると、親指と人差し指の輪っかでいい感じなのに穂高さんのじゃ指届かないんだよなぁ。
そんなどうしようもないことを思いながら、事務的に擦ってみるけど、あんまり気持ち良くない。オナニーってこんなだったっけ?
「手のひら全部使って、皮下ろして、そこ抉ってみ」
「ん、わかっ、た」
ゆっくりと手のひら全体で性器を包んで、ゆっくりと擦りながら余った皮を下ろしていくとさっきまでと明らかに違う。
穂高さんとエッチを重ねる中で、俺の体は穂高さんの触り方に慣れてしまったらしい。これまでしてきたオナニーってきっとただの作業だ。
「ンッ、ぁ」
「誠」
「ふぁ、ん?」
「誠」
何をしろと言われるわけでもなく、ただ呼ばれる俺の名前にのろのろと穂高さんを見る。
「ぁ、やだぁ、ぁ」
そんな風に見ないで欲しい。
やだ、恥ずかしい。穂高さんから目を逸らして首を振ると、また誠って名前を呼ばれる。
その優しい呼び方に、体に甘い快感が走って、いやだと思うのに俺の手は止まってくれそうにもなかった。
「や、だっ、やだっ、いき、たくないっ」
「なら手止めたら?」
むりむりと首を振っていると、俺にほとんど触れることのなかった穂高さんが俺の頬を両手で包む。ちゅーでもしてかれるのかなと期待したけど、そんな様子でもなかった。
「いっていいよ」
「やっ、だぁっ」
「誠」
「ぃ、やぁあっ、やだっ、みなっ、いやっ」
見られたくないのに、じっと俺を見る穂高さんから目を逸らせなくて、いきたくないと思うのに手が止まらなくて、精液と一緒に涙まで溢れた。
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