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2-123.
そうしてやって来た2度目の週末。
俺は山口県で過ごしている。
ここには結構大きな製造設備があって、新製品の説明がない時は俺は喜んで現場を見て回った。
「そうだ、もみじ饅頭ってどこで買えますか?」
「伊藤くん、ここ山口県」
「内村さんが山口で買えるって教えてくれたんですが……」
「買えるけど………そもそも帰るのがまだ先じゃ日持ちしないだろう、おすすめを教えてあげよう」
と支社長自らに引きずり回されやって来たのは酒蔵?のような、お酒がたくさん売っているお店。
「伊藤くんはいける口?」
「全然なんです。気づいたら寝て、知らない場所で目が覚めます」
「内村くんは好きだったよね。潰れるまで飲んでた」
それは、潰れたくなるほどに忘れたい何か(仕事)があるのでは?と思ったりしたけど俺は何も言わなかった。
「日本酒、ですか」
「そうだよ。飲みやすくて、お土産におすすめだよ」
試飲はしなかったけど、俺はそのお酒を勧められるままに2本購入した。お酒をたかだか2本買っただけなのに諭吉さんがさよならしていったのはびっくりしたけど、お土産代は俺のお給料全部だから全然余裕。
「うちの会社っておかしくないですか」
「?」
「俺、約1ヶ月の間毎日出張手当が出てるんです、1日あたり9千円ほど」
「うん?」
「それとは別にもちろん基本給も貰えます」
「うん??」
「ホテル代は完全に会社負担です」
「???」
「こんなことが出来るなら俺の基本給をあげて欲しいです……」
仕事量に釣り合ってないお給料をなんとかしたいとぼやけば、過去に同じ道を通っているはずのその人は苦い顔をして俺の肩を叩いた。
そんな風に時に楽しみ、嘆きながらも毎日を過ごし、金曜日にはおもてなしという名の飲み会があって、ホテルに戻るとまたスーツのまま眠った。
翌朝起きると、先週も見た気がする皺だらけのスーツが目に入る。はぁあと深いため息と共にスーツを脱ぐ。
するする、とまではいかないけど、ぎこちなくともだんごになることなく解けるようになったネクタイ。意地悪なこともされたけど、穂高さんは俺がちゃんと結べるようになるまで何度も練習してくれたっけ。
あ、これ穂高さんのネクタイだ。
流石に毎日スーツ着ていくから、俺の手持ち2本じゃあまりに寂しすぎて、穂高さんから何本か借りているひとつ。
………やばいどうしよぉ。
2週間はエッチしてないし、なんなら出してないし。
朝だし!
なんかだめだ。
無駄に血液が下半身に集まろうとしてる気配を感じる。
「ど、どぉしよおお」
鎮まれ!と念じても変わらないそれはどんどん血液を吸い込んでいく。
「あああ、おっきしなくていいんだよぉぉお」
このおばか!
そう言ってぽかぽか殴りたくても自分の急所だからそんなことできるはずもなく、俺はどうしようもなく立ち上がったものを布越しで見つめる。
ついで、かなぁ。
そろそろ出しとかなきゃやばい、色々と。
夢精する、たぶん。
オナニーするのにこんなにも覚悟が必要だっただろうか。
こうもっと、抜いとこーくらいの軽いノリだった頃もあったはずなのにどうしてこうなったと思いながらも、自分の性器に触れる。
そっと、焦らすような触り方。
好きじゃないと思ってるのに、この方が好きらしいというのは体の反応で嫌ってほどにわかってしまった。
だけど、これじゃ足りないと俺はごそごそトランクからローションを取り出す。穂高さんが俺のお尻を触る時に欠かすことがなくて、おちんちんを触るときも大体は使うもの。
滑りがいい方が気持ちが良くて、粘着質な音がどうにも興奮を煽ることも、知ってしまった。
クチュ、クチュと音を立てながら、自分で自分を焦らして、焦らして、焦らして、そうして擦っても何か足りなくて。
萎える気配もないのに、出せる気もしなくて目には涙が滲んだ。
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