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その日は久しぶりのエッチに疲れたのもあるし、隣にある暖かい温もりに安心したのもあって、とてもぐっすり眠れた。 うーんと体を伸ばして、キョロキョロと視線を移して、自分の部屋なことに安心する。 ちらっと布団を捲って自分の体を見下ろすと懐かしい歯形がたくさんある。ふふっと笑ってまた布団に潜り込んで、ころころと転がる。 いつもの、当たり前だった休日だ。 好きなだけ寝て、すっきりと目が覚めて、あと…… 「誠」 これだ。 昼に近い11時半ころ。この時間まで寝ていると起こしてくれる。俺は起こしに来てくれると分かっていてまた布団に戻ったわけだ。 「寝てるー」 「起きてるだろ」 寝てると返事をした俺に呆れたように笑うけど、穂高さんはこのくらいで怒ったりしない。 「ちゅーしてくれるまで寝てる」 「はいはい」 これでいいのか?と唇にちゅってしてくれた。 そこでようやく俺は目を開けて、にっこり穂高さんに笑いかける。 「おはよぉ」 「おはよう。もうすぐ昼な」 「お昼ご飯なぁに?」 「オムライス」 「オムライス!!!」 「今夜はカレーかハンバーグで悩んでるけどどっちがいい?」 「うーん………カレー!ゆで卵も!」 「それならマカロニサラダなしな」 「えっ」 そんなバカな。 卵入りのマカロニサラダも捨てがたい。だけどカレーに乗せるゆで卵も捨てがたい。うんうんと悩む俺に、昼オムライスだから絶対にどっちかだけと念を押してくるから、俺は唸りながらもマカロニサラダと答えた。 てくてくリビングに行くと、優しい匂いが広がっている。今日はバターライスかぁとくんくんと匂いを嗅いで、キッチンを覗き込む。 「今日卵どっち?」 「どっちがいい?」 「巻いてるやつ!」 今日の気分は定番のオムライス。 ふわとろのチーズ入りも最高だけど、今日は普通のオムライスにケチャップをかけて食べたい。 出来上がったオムライスと朝ご飯の残りをしっかりと完食して、満腹とソファに転がった。 「これが俺の休みの日だなぁ」 こうやって、お腹いっぱいにご飯を食べて、食べ終わったら少し苦しいお腹を休ませるためにソファに転がってゲームをしたり穂高さんと話したりする。 これが俺の休日だ。 そうしてしばらく過ごしていると穂高さんが俺の頭を軽く撫でてきて、俺は一瞬だけ体を起こしてソファに座った穂高さんの膝に頭を乗せる。 暖かい穂高さんの体温と、髪を梳くように撫でる手が心地よくて、ついさっき起きたはずなのに俺はすっかりと寝かしつけられていた。 次に起きると、俺はソファの上でクッションを枕に、ブランケットを被って寝ていた。 きっと穂高さんが掛けてくれたんだなぁとブランケットをぎゅっと抱きしめて、体を起こして辺りを見回す。 キッチンに居ないってことはベランダかな?とベランダの方を見ると、カーテンの後ろに人影が動いている。むくりと起き上がり、カーテンから顔を出すと起きた?と穂高さんが笑いかけてくれる。 「うん。手伝うよ」 「じゃあ頼む」 洗濯物を畳むのは苦手……と言うかぶっちゃけこれ着たら良くない?って思うタイプの俺だけど、穂高さんはいつも綺麗に畳んでいるから少しずつ覚えた。 ハンガーにかけるものもあるらしいけど、俺には区別がつかない。なら全部ハンガーで良くない?とパンツまでハンガーに掛けていたら穂高さんに爆笑されたことだってある。 「誠、畳むの上手くなったな」 「ほんと!?」 「本当」 やったあ! 最初の頃は俺が畳んだものをすごい目で見てたからなぁ。 ただ、それでも穂高さんが怒ったことはない。それ畳んだのか?と言わんばかりの目で見てたくせに、穂高さんは手伝ってくれてありがとうと言うのだ。 だから、俺はそれからも気が向けば手伝うし、褒めて欲しくて綺麗に畳むようになった。 そうして出来ることを手伝ったり手伝わなかったりしながら、穂高さんといつも通りの休日をまったりと味わって、出張の疲れを落としていった。

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