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よく分からない2人の関係に首を傾げつつも、俺はようやく家に帰り着く。
ここに初めて来た時はびっくりしたっけ。
入口からオートロックだし、ポストがちゃんとあるし。
もちろん家に入る玄関の扉だってオートロック。その扉を開けて家に入ると、2人で暮らすには十分すぎるほど広い玄関。
トイレとお風呂はもちろん別だし、洗面台だって独立している。
「ただいまぁ」
「おかえり」
そして、リビングに入るとダイニングテーブルがあって、ソファもある。
ソファのそばには折り畳みできる楕円のテーブルがあって、飲み物を飲む時はそれを引っ張り出している。
ソファの前にあるテレビはもちろん薄型だし、結構大きめ。部屋に合わせるとこのくらいのサイズがいいのかな?って思ったりもするけど、贅沢だなぁと思う。
「誠?」
「なぁに?」
「疲れてんのか?静かだけど」
「ちょっと!俺がいつもうるさいみたいに言わないでっ」
「あれ、いつも通りか?」
「どんな確認!?」
失礼な!と怒ってみせると、安心したような顔をする穂高さん。なんたって過保護だからね、過保護も歪ませてるからその辺は心配性なんだよ、知ってた。
「ここももうすぐ引っ越すのかぁと思ったら、なんか懐かしいような寂しいような、そんな感じ」
「ここ来た時、オートロックだ!とかトイレがトイレだ!とか普通のことなのに大袈裟に喜んでたよな」
「俺の家見たくせに」
あれに住んでたんだよ、そりゃそうなるよ。
「休み取れたのか?」
「野田さんが8連休にしてくれた!」
「いい上司だな」
「うんっ!でも、なんか引っ越せるなーと思ったら寂しくなった」
そう言った俺の頭に大きくて温かい手が乗ってくる。振り払うことなく見上げると、優しい顔した穂高さんと目が合った。
「ここは俺の家だったけど、今度は俺と誠の家。また思い出なんか作ればいいだろ」
「俺の好きにしちゃうととんでもない部屋になるよ」
「そのために俺がいるんだろ」
「あはは、穂高さんに任せるとシンプルだけど過ごしやすい家だよね」
目がチカチカすることもなく、過ごしやすい部屋。
「観葉植物とか置いてみる?」
「誠世話できんの?」
「サボテン枯らした」
「サボテンって枯れんの?」
「枯れた」
「まじか」
まじだよ。
サボテンなんて水なんかあげなくていいんだろうと放っておいたら、いつの間にか枯れた。後から調べると、定期的に霧吹きで水をあげなきゃいけなかったらしいけどそんなの知らない俺は普通に枯らした。
「そんな思い出も作りたいね。ベランダあるから家庭菜園でもしてみようかなぁ」
「それ絶対俺が育てることになるやつだろ」
「穂高さんが作ったもので俺の体が出来る!いいと思わない?」
そんな適当言ってみたら何やら真剣に考え込み始めた穂高さんがいて、ちょっとやばいなと思って慌ててお腹が空いたと話を変えた。
たしかに俺は穂高さんが作ってくれたご飯で元気に生活しているけど、なんだか変なことを口走った気がする。
穂高さんの過保護が変な方向に走り出しかねない発言だったと反省する。
その日、用意されたご飯を食べる俺をやたら真剣にみていた気がするのは、気のせいだと思いたい。
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