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ようやく部屋に帰ってくるとクタクタだったけど、片付けをしていた頃よりも少し周りを見る余裕ができた。 玄関や廊下、リビングはシンプルなクロスなのに、寝室やトイレは俺がリクエストしたクロスが使われていた。 浴室もカラーが選べたのは知っていたけど、穂高さんはやっぱりシンプルなものを選んでいた。 そして、フルフラットキッチンなるキッチンはリビングのどこにいても穂高さんが見えるけど、その剥き出しのキッチンは俺には使いこなせないなと思った(片付けられないのがバレる)。 そのキッチンに入り、冷蔵庫に買ってきたものを入れる。 「うわぁ、冷蔵庫すっからかん!」 「明日買いに行こうな。明日の夜くらいからはなんか作れるだろ」 なにがいい?と聞いてくれる穂高さんに、迷いなくカレーライスと答えた。これをリクエストしておくと、きっと卵入りのマカロニサラダも付いてくる。 そう思いながら俺はキッチンの散策もしていく。 引き出しや扉を全部開けてみて、キッチン周りは結構片付けられてるなぁと思ったけど、パントリーを開けてびっくりした。 「そっちはまだ」 「……なんか、こういうの開けて段ボールに出迎えられたの初めて」 ちょっとびっくりした。 家の至る所に段ボールがある生活だけど、これはこれで楽しい。 「誠のゲームはあの箱な」 「はあい」 「後テレビの接続やら設定も、必要ならやってくれると助かる」 「はあい」 そう返事をして、俺は指さされた箱を開ける。 俺のゲーム機の他にルーターなんかも入ってるから、この辺頼むってことなのかな。 穂高さんってコンセントにさす以外は苦手っぽいからなぁ。 「風呂沸かしてる間に終わる?」 「たぶん」 なにも買い替えていないから、配線さえ繋げば接続はそんなに問題ないと思う。 俺はそう苦手でもないから、ぱっぱと繋いでいくと予想通りそのまま使えそうだった。 「穂高さんWi-Fi入った?」 「入ってるな」 「ん、ならたぶんパソコンも大丈夫だと思うよ」 「早すぎねえ?」 「線繋ぐだけだからこんなもんじゃない?」 「どこになに繋ぐとかどうやって分かんの?」 「え、形とか色とか?全然違うよ?」 たまに優しいのだと○○用とか書いてるし、って思うけど、穂高さんは全部同じに見えると呟いていたからこれからもこの辺は俺がお世話してあげようと思う。 そうしているうちにお湯がたまったらしく、俺はちらちらと穂高さんを見上げる。 「はあ」 「一緒に入る?」 「うんっ!!!」 2人で準備をして、と言っても寝室の片付けついでに出てきたパジャマとバスタオルを取って、脱衣室に向かう。 ここも色々とカスタマイズされているのか、洗濯機が綺麗に収まったその上には収納棚が作られていたりと、半年前に見たモデルルームとは全然違う感じがした。 「穂高さんって脱衣室にタオル置きっぱなしにしないんだね」 「気の問題なんだろうけど、湿気る気がする」 「なんとなく分からなくはない気がする」 「だろ?」 そうしてぽいぽいと服を脱いで、洗濯カゴに入れる。 パンツもぽいっと投げ捨てて浴室の扉を開ける。 「入浴剤……は滑るからやめとくか」 穂高さんの過保護な言葉は聞かなかったことにした俺は、しゃがみ込んでお湯を出す。これまでよりも大きくなったシャワーヘッドから出てくるお湯は柔らかく広がっていて心地がいい。 穂高さんに頭も体も洗ってもらって、俺の体はやっぱりツルツルになったけどそれもまあ気にしないことにして、新居の浴槽に1番乗りする。 ふぁぁあ、きもちいい。 浴槽の端に顎を乗せて、頭をわしわしと洗う穂高さんを眺める。 その体の暖かさを知っている。 その体のあつさを知っている。 体を洗って立ち上がって俺避けてお風呂に入ってくる。俺はスペースを空けて、当然のように穂高さんにもたれかかる体勢を取る。 そうすると俺の体には当然のように穂高さんのものが当たるけど、穂高さんはそういう気分になっていないから当然柔らかかった。

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