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第6話

「気持ち悪りー」 「ホモとか生きる意味あるの?」 「着替えの時の俺ら見てオカズにされてたりして」 「キモいんだよ。死ねよ」 「カッコいいし良いなって思ったのにホモなんて最低」 「何でこんな風に育ってしまったのかしら気持ち悪い」 「お前は一家の恥だ」 ....... ドクドクドクと嫌な心臓の動きに血流が激しくなっているはずなのに手足は冷たくなる。 こめかみ辺りがズキズキしているような感覚に ハッと目が覚めた。 恵は春の陽気に促され少し眠ってしまっていたが昔の嫌な夢を見て怖くなり 身体を丸めて自衛体制を作る。 大丈夫、大丈夫、 もう終わった事。昔の話だ。大丈夫、大丈夫。 そう何度も何度も言い聞かせるように心の中で呟き続ける。 「大丈夫ですか?」 朦朧とする意識の中いきなり声が頭上からかかりビクリと肩が上がる 恵はよく分からず少し埋めていた顔を上げる そこには少し腰を折りこっちを見ている男が立っていた。 横から温かな春の日差しがかかり染めているのか地毛か少し明るくめの髪を春の風が揺らしている イケメンと言われるだろう顔がこちらを伺っていた 「大丈夫です?」 同じ言葉を言われ恵はやっと男から目を離し黒く長めのウェーブが掛かった髪を額から握り込むようにして 「あっ、あぁ大丈夫」 「それなら良いんですが、顔色悪そうですよ」 「大丈夫だから」 早くどっか行ってくれ。と拒絶するかのように顔をふせ、そして顔を膝の上に戻す ザッ、トッ、トッと男が立ち去る音がする ホウッとため息を吐きながら気持ちが落ち着いたら帰るかと思い直し 気持ちを落ち着かせる為周りに集中して音を拾っていく。 桜道と言われるので桜の隣には歩道がありその隣を川が流れている。 川と言っても小さな手の施された川だ たまに隣を通る足音、話し声、自転車、反対側を走る車の音、たまに鳥の声、 どれも自分に無関係な音でホッとする反面、、孤独も感じる

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