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第22話
片付けが終わりリビングへ戻ると俺はカメラを持ち彼へ視線を向ける
「ベランダから桜の写真撮っても?」
「どーぞ、どーぞ、お好きなだけ」
と微笑んで言われ思わずカメラを向けそうになるが我慢。
そそくさと逃げるようにベランダへ出る
おぉー5階だけあって桜道が見渡せる!
柵の元まで行き早速カメラを構えレンズ越しに見る
そしてまずは撮らずに構図を考える
メインを何にするか、桜はどの位置に置くか、ズームをアップダウンしたり、光の入り方だったり、頭の中で色々な構図を考えそれに合わせレンズ越しに見ていく
そして大体決まったらとりあえず試し撮り
カシャッ
そして画面で確認する
んー少し光が強いなぁ。F値かISOかコントラストか.....
などと色々変更パターンを考えながら調節していく
カシャッ
んー桜の色味が弱いか!?んーもう少し余白を多くするか....
あーでもない、こーでもないと撮って行く
「休憩しませんか?」
後ろから声を掛けられる
あっ、しまった。集中し過ぎた...
「あっ、すまん。」
七条君の手には氷の入った夏らしいトールグラスが握られていた
「ストレートのアイスティーですが大丈夫です?」
「あぁ、大丈夫 有難う。」
休憩と言われて喉が乾いてたのに気付く。
グラスを受け取って早速ゴクゴクと3分の1程飲むとスッキリとした良い香りのセイロンティーだった。
食後だからセイロンティーのスッキリさが嬉しい。
彼はセンスも良いんだな。
「写真どーです?満足いく写真は撮れました?」
満足いく の言葉に更に良いなと思った。
俺みたいに欲だけで写真を撮る者としては最高な写真は満足いく写真だからだ。
「んー良いなと思う写真は撮れたが、現像してからかな」
とカメラ本体を掴んでいる親指で撫でながら話す
「貴方が切り撮った写真の中は幸せでしょうね」
ん?写真の中は幸せ?
初めて言われるの言葉で上手く理解が出来ない。
「ん?どーいう意味だ?」
「あーこっちの事なんで気なさないで下さい。ただ綺麗な写真なんだろーなって!」
ニコッと笑いグラスを掲げゴクンと飲み、飲み込む時に動く喉仏に見惚れてしまう
あの首に自分の手を首を絞めるような感じで巻き付け、首筋が伸び首筋が隆起している構図の写真を想像していた。
あかーーーん。アウトーー!
笑ってはいけないじゃなく変態にはなってはいけないでアウトーー!
またセクハラで逮捕ー!
はぁ、今までも男を恋愛的、性的に見て来たのにこんなにも写真を撮りたいと思った事はない。
ただ手が綺麗とか、背中が綺麗とか、ただ断片的で第三者としてカメラに納めたいだけだったが、彼相手だとそこに自分の一部と納めたいと思ってしまう。
こんなんで一緒に生活出来るのだろうか....
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