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第23話
片付けが終わった虹崎さんはカメラを持ち
「ベランダから桜の写真撮っても?」
来た時から撮りたそーにソワソワしてたから直ぐに俺は
「どーぞ、どーぞ、お好きなだけ」
と微笑んでベランダへ促すとササッと行ったので、どれだけ撮りたいんだよ!っと心の中でツッコミをする。
窓は開けっぱなしなので見たい放題だ。
カメラを外に向けカメラを覗きながら右往左往したりカメラを操作したり
カシャッ
と音がした後、画面で確認する姿を見る
カシャッ カシャッ
とシャッターの音が心地よかった
それにカメラを撮る後ろ姿から目が離せなかった。
どれだけ時間が経ったか分からなかったけど、結構経ってたと思う。
少し喉が乾いた事に気付き、見るのを我慢して食後の紅茶を入れにキッチンへ向かう
食後でサッパリしたかったので、今回はセイロンティーにする。
きっと熱いのより冷たい方が良いかなとアイスティーにする事にした。
グラスを両手に窓まで近付き、先ほどより近い位置から彼の後ろ姿を満喫する。
手が冷たくなるぐらい見た後
「休憩しませんか?」と声を掛ける
全く俺が来たのに気付いてなかったらしくビクッとさせてしまった。ごめん。
そしてグラスを渡すと早速ゴクゴクと3分の1程一気に飲んでいた。彼も喉の渇きに気付いたんだな
グラスの傾きが戻る時に氷とグラスがぶつかりカランと音を奏でた
豪快に飲む姿に見惚れ音でハッとした
慌てて冷静さを取り戻すべく話し掛かる
「写真どーです?満足いく写真は撮れました?」
何故が 満足いく という言葉のチョイスをしたのかは自分でも良く分からなかったがそれがしっくりと来る言葉だった気がする
「んー良いなと思う写真は撮れたが、現像してからかな」
と言いながらカメラ本体を掴んでいる親指でカメラを撫でている姿に嫉妬した。
カメラに嫉妬した。
カメラを見る目は、カメラをとても大事にしているという目。
撫でる手は、カメラを愛おしいと優しく撫でる手。
俺もそれ程に愛されたいと。そしたら幸せだろうと。
「貴方が切り撮った写真の中は幸せでしょうね」
そんな事を考えていたのか変な事を言ってしまう
「ん?どーいう意味だ?」
「あーこっちの事なんで気なさないで下さい。ただ綺麗な写真なんだろーなって!」
慌てて取り繕う....
危ない。何ポエマーみたいな変な事言ってるだよ自分。キャラじゃないから!!
恥ずかしくなり作り笑いでグラスを掲げゴクンとアイスティーを飲む。
落ち着け自分。
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