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第26話
七条君は美味しかったですと綺麗にご飯を完食してくれた。
良かった。
食器の片付けを終えて食後のコーヒーを入れてもらいさっきと同じようにソファを背凭れにして座る。
彼はソファの上で肘掛に肘を置き頭を支えながらテレビを見ていた。
テレビ番組は世界に行き、行った国の歴史や流行などを紹介し、たまにクイズを入れたりする長者番組だ。
ヒ○シ君人形が多い人が優勝とか。
世界か....色々行きたい所がある。行って写真をいっぱい撮れたらと。
テレビを見つつ頭の中は世界旅行へ
ふと彼とソファの上にいる彼を見上げる
ドキッ
目が合う。いつから俺を見ていたのか....
見下ろされている為目元は切れ長に細められ頭を支える手が口元を少し隠していてモデルさながらのカッコよさ。若いのにその色気はなんだ!!
写真を撮っても良いだろうか。
また変態心がむくむくと育つ.....
ホウッと息を吐きテレビに視線を戻す
「お風呂入れて来ますね」
と立ち上がり席を立つ
本当に俺泊まるの?
てか人の家に泊まるのっていつぶりだろうか....
泊まるの事は有っても、ホテルだし、こういう泊まりじゃなくやる事だけやる泊まりだし
このよく分からない関係が余計に頭を混乱させる。
「タオル、着替え、下着、用意しておいたのでお風呂が入ったら入って下さい。下着は新品だから」
ニコッと笑いながらソファへ戻る彼
「有難う!?」
良く分からないままお礼を言ってみたが....
何か変に緊張して来た。
この未知な関係が緊張を煽る
お風呂が沸きました。の音声と共にメロディが流れてきた
「どーぞお先に」
「俺は後で良いから先に入れよ」
「いえ、とりあえずお客様なので、先に入らないなら一緒に入ります?片手使えないかもしれないし...」
ニヤリと妖艶に言われ慌てて逃げるようにお風呂へ向かう
「脱いだ物は洗濯機に入れちゃって下さいね」
後ろから言われるが後ろ手で分かったと良いそのまま歩き続けた
きっと俺の顔赤かったはず....
良い年下おっさんが赤くなるとか恥ずかしいわ!!
先程彼が出て行った扉に向かうとお風呂への扉が開いていて直ぐに場所が分かった
脱衣所で脱いだ物を全て洗濯機へ入れ、お風呂場の中へ入る
おぉー広い!
自分の家よりデカイ浴槽に心が躍り喜ぶお気軽な自分…
シャンプー、トリートメント、ボディーソープ、洗顔を借り洗った後浴槽へ
身長が185程ある俺でも足を伸ばせる浴槽
素晴らしい....
何か入浴剤が入っているのか良い匂いがした。
でもいつもと違う匂いのモノばかりで少しソワソワしてしまうのは仕方ない
「お先に頂きました」
彼の元へ戻りお水を貰いゴクゴクと飲む
「いえいえ、では俺も行ってきます」
と扉の奥へと消えていった。
お酒を飲まずに素面でこの展開は読めなさ過ぎて怖いです。
おっさんは疲れました.....
定位置でかなりの時間ボーッとしているとリビングに戻ってきたので見るとドライヤーを持って
「虹崎さん髪乾かしましょう」
ドライヤーを少し振りながら言われる
「自然乾燥で大丈夫だ」
いつも面倒でドライヤーなんて掛けない
「まだ朝晩冷えますから風邪ひくいけないので、ソファ座ってください」
「あーじゃー」
そこまで言われては乾かすしかないのでドライヤーを受け取るべく手を伸ばすが......
スルーされソファに引き上げられる。
しかも後ろに立たれ俺の髪を乾かし始める...
えぇー!?
おっさんの髪だよ?いやいやー髪乾かされるとか恥ずかしいんですけど...
自分でやると動き回ると熱風一箇所に当てて頭燃やしますよと脅された。もう苦笑いで大人しくするしかないだろう。
美容院以外でブローとか初めてだ!
てか七条君流石だな。慣れてるよ。
こーやって彼女とかにもするのだろうか。
恐るべしタラシ君!!
しかし人に乾かしてもらうって気持ちいい.....
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