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第28話

「終わりました!」 何故こんな恋人みたいな事を…ドキドキしてしまうやないかー。 七条君は満足したのかドライヤーを片付けに行って居なくなった 俺は背凭れに背を預け腕を顔に置き心の中で うわぁぁぁ、、、、、っと地団駄ふみたいのを我慢してこのソワソワをやり過ごす。 これはダメだ冷静になるんだと今日撮った写真を見て、見る事に集中したら冷静になれるとカメラを手に取る ピッ カチカチ 今日撮った写真達、道端のタンポポ、空に綺麗に流れる飛行機雲、カチカチと写真を流していく、そして手が止まる 俺の手首を掴む七条君の手の写真。 お互いの肌色の違い、腕の細さ、指の形、爪の形 何一つ似ていない。でも違うからこんなに綺麗だと思うのだろうか… 彼の手が俺の手首を… あの時彼の手の温度はどんなだっただろうか、俺より暖かかっただろうか、冷たかっただろうか… 覚えない事をとても残念に思った。 彼に触れてみたい。触れられてみたい。 てか彼の事何も知らないな… 聞いたら教えてくれるだろうか… ってこんな事考えるなんて女々しいな俺… ガチャ 七条君は戻って来てキッチンに行き立ちながら水を飲む、その姿がカッコいい… 何も考えずカメラを構え カシャッ カシャッ と遠目からとズームして胸上ぐらいの大きさとで2枚撮った。 少しゆったり目の襟口から綺麗な鎖骨が見え、綺麗な形の喉仏、お風呂上がりでピンクが増した肌。 うん。綺麗に撮れた。 ん?何故か凄い視線を感じる… あぁーーー!しまったーーー!今まで我慢してたのに盗撮じゃなく堂々と撮ってしまったーーー ゆっくり彼を見れば ジーーーッとこちらを見ていて目が合う。 感情が読み取れない… 「す、すまない…」 彼はスタスタと俺の目の前まで来た 「満足いくの撮れました?」 綺麗な微笑みを浮かべながらカメラに人差し指がトンと乗る 「おっ、おう…」 何か反応が予想と違って… 「それは良かったです。写真が撮りたいと思ったらいつもは直ぐ撮ってるんですよね?今日はそれを我慢したりしてました?」 「あーあぁ…」 「では、一緒に居る間撮りたいと思ったらその全てを撮って下さい。どんな写真でもです。どんな時でもです。」 「え?良いのか?君を撮ったりもするぞ!?」 「はい、虹崎さんにならどんな俺でも撮ってください」 「分かった」 初めて自分から人を撮りたいと思った しかも撮っても良いって言ってもらえるとは カメラに目線を送りこの喜びを噛み締める その視界に彼の手が入り込んで来た カメラのシャッターボタンの上にある俺の人差し指に彼の指がツーッと撫でていく ピクッと身体が反応して顔を彼に向ける ツッ!! 何で顔してるんだよ… 愛しい人を見るような眼差し… 俺は顔を手で覆い座り込むしか出来なかった… 勘違いしてしまいそうになる。 勘弁してくれ… おじさんを弄ばないでくれ… 音で彼も座り込んだみたいだ。 「すいません、不快な思いさせました!?」 違う!!と顔を上げ手を離し見る 「違う、大丈夫だ。ただおじさんをイジメるんじゃない…」 「イジメてなんか無いですよ」 そう言うと彼は俺の手を掴み歩き始め奥の部屋への扉へと進む えっ?? 「何処行くんだ?」 「もう、寝ましょう」 「は?」 「寝室へ行きます」 俺はブレーキを掛け 「待った待った!俺はソファで寝るから」 「ダメです」 と今度はさっきより強めに引かれる 「いやいやいや…」 「拒否権はありません!責任取ってくれるんですよね!?」 「流石に一緒に寝るのは…」 「大丈夫ですよ。キングサイズですし、余裕で寝れます」 そういう事じゃない… もうこれは諦めるしかないやつだわ。 はぁ〜 「分かった」 彼について行き1番奥の部屋へと入る 部屋に入ると本当にキングサイズのベットが鎮座していた。ベットの隣にローテーブルが置いてありお洒落な間接照明と小さな冷蔵庫が置いてある 反対側の壁一面にクローゼットの扉と姿見。 本当にモデルハウスかよ!! 無駄な物は何もない… そのまま手を取られたままベットへと向かい 「さぁ、寝ましょう」 と片側へ促され、とりあえずベットへ座る ふと香る彼のじゃ無い女物の甘い匂いに胸がキツンと痛んだ気がした…

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