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開幕〜見えない狩人〜

【人物紹介】 ・久坂春樹:理央とは幼馴染で、恋人。Ωの新人記者。後輩の雅人が理央を狙っていると思い、ライバル視している。 ・宮地理央:春樹の事が大好きな大型わんこキャラ。エステティシャンで、経営している店で問題が発生している。α。 ・大神雅人:薬品会社の御曹司で、弁護士をしているα。春樹達の後輩で、ドS。欲しいものは手に入れる主義。理央の件で、春樹とも再会する。 俺の恋人である宮地理央は、姿を消した。十中八九、犯人はアイツだ。 (理央、待ってろ) 「雅人、車を出せ」 後輩の大神雅人の車に乗り込み、理央が監禁されている屋敷へと向かった。 ★★★★★ 今考えると、事件はこの時に既に起こっていたかもしれない。 理央はエステの店を営み、俺は記者になったが、腐れ縁でよく会っていた。腐れ縁というのもあるが、恋人だからというのもある。 『SEX中に考えごと?』 『んっ、はるっ』 両手で理央の顔を挟み、面白い顔にしてやる。 『ぼんやりしすぎ』 『ごめん』 『疲れてるなら少し寝た方が』 『ん、そうする。でもその前にキスして』 図体はでかいのに甘えん坊で、金色の柔らかな髪を撫でながら寝ることも、優しい口づけも好きだった。 『疲れてるのに春樹のこと抱きたい〜』 『盛るな。元気になったらいくらでもすればいいだろ』 『絶対だよ!』 『はいはい』 じゃれてキスして、抱きしめられながら眠る。この時は幸せな生活が長く続くものだと思っていた。 ★★★★★ 俺は理央が大学時代の後輩である大神雅人との再会から様子が変だと感じていたのに。 『理央に何の用だ、大神』 『おや、久坂さん』 『最近理央の店に通ってるだろ』 『常連ですよ。久坂さんこそ、宮地さんにご執心みたいだ。記者の仕事は忙しいと思ったのですが、暇なんですか?』 『大神一家の裏を調べたら大スクープかもな。先輩後輩の仲だし何か教えてくれない?』 『私の家でなら』 嘘くさい笑みに溜息をつきたくなる。きっと口を割らないだろう。記者らしく調べるかと考えていると、胸ポケットから携帯を取り出し見せてきた。 『怖い顔しないで下さい。宮地さんの店に怪しい客が来るようになったそうで、弁護士の私に相談があったんですよ』 『相談?』 『知らないんですか。そうですか、幼馴染には言いにくい内容ですから。ですが、よく会うなら久坂さんにも注意してもらわないとと思いまして』 雅人の携帯にはアダルト映像の俳優に理央の顔をコラージュしたものがあった。 『何だよ、これ』 『嫌がらせの一つですよ。宮地さんに送ってきた映像です。悪戯だけでなく、理央さんへのセクハラや悪戯電話もあって』 『どこのどいつだ。許さねえ』 『犯人は』 『春樹、どうしたのそこで?大神もいたんだ』 少し険しい顔をする理央に、やはり大神の言ったことは本当なんだと思った。 『大神、店の中で待ってて』 大神と少し話し店の中に入れた後、心配した顔で俺を抱きしめる。 『理央』 『今日、仕事は?外で春樹の声聞こえたから驚いたよ』 『俺、今まで知らなくて』 『大丈夫。犯人が捕まるのもすぐだし』 『本当か?』 『うん!だから、仕事早く終われるなら帰って夕食作ってほしいな。春樹の料理が恋しいよ』 『ああ。久しぶりに理央の好物作るよ』 『やった!オムライス食べたい』 『分かった』 理央が大丈夫と言っても不安だったが、仕事の合間に抜け出したこともあり今は信じるしかなかった。 ★★★★★ 『遅いな、理央』 いつもなら帰ってくるだろう時間になっても連絡一つない。 『オムライス冷める前に迎えに行くか』 心配になって、理央の店まで迎えに行くとメールを打った。 歩いているとついてくる足音が聞こえる。 (理央を狙ってるストーカー?家まで知ってるのか?) 少し歩く速度を速め、角を曲がる。ストーカーが曲がった時に対面して捕まえてやると思っていた。しかし、出会いがしらに誰かとぶつかってしまう。 『いてっ、すみません』 『捕まえた』 『え、ちょっ、おい』 腕を引っ張られて細い路地に入っていく。抵抗するが、鼻息荒い男は人の話を聞かない。 (この匂い、α⁈) 『じっとしてろ』 『離せ、話聞いて、くっ』 体全体で押し付けられ、αのフェロモンでクラクラしてきた。男は首元に顔を埋め、下着の中へ手を入れてくる。 『濡れてるじゃないか。Ωの汁が溢れてくるよ』 『んっ、そこ、触ったら、あっ』 下着が濡れ、水音が聞こえてくる。 離れたいのに、気持ち良くてフェロモンにあてられてるのが分かる。 『誰か、助けて』 指でイかされたくないと身をよじった時、電話が鳴る。足元に落ちていたため、男の力が緩んだ時叫んだ。 『電話を繋いでくれ!』 分かりましたと無機質な声が聞こえ、通話状態になる。 『勝手なことを』 『んああっ!』 気持ちいいところを強く押され、膝がガクガクなった。 『久坂さん、今どちらに』 『犯してやる』 『大神!家の近くの、や、やめろ、いや、入ってくんなっ』 『簡単に飲み込んでいくぜ。ほら、友達呼ばないと種付けされるぞ』 『路地、大神、来て』 意識が朦朧としながらも、腰を掴まれナカを行き来しているのが分かる。 『久坂さん!』 違うαの匂いがする。近づいている匂いが二つ。 (イキそう、いやだ、理央以外に出されるなんて) 『ごめん、理央』 イく寸前、こちらに誰かが向かってくるのが分かる。 『久坂さんから離れろ』 男と引き離され、傾いた身体を抱きとめられる。この匂いはー 『理央?』 『春樹、春樹、しっかり』 『りおう、来てくれたんだ』 『ごめん、危険な目に合わせて』 『苦しいっ、理央、俺』 理央が強く抱きしめて泣いているのが分かる。悲しませたくないのに。 『警察に連絡しました。宮地さんは久坂さんを連れてこの場から離れて』 『大神頼むよ。春樹、辛いけど少し我慢して』 イきたい。寸止めされかえって辛い状態だった。それに気付き、理央は音を立ててキスをしてくれた。 『んんっ』 『春樹、消毒は帰ってからね』 『うん』 蜜で下着がまた濡れたのが分かったが、ただ身を任せていたかった。

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