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アレンの本気

「これで兄さんの安全は保障されたも同然だね」 「どういうことだい?アレン」 「これを見てください」 アレンはトーヤに国王からの書簡を見せた。 トーヤもその意味が分からないほど子供じゃない。 「アレク、この書簡の意味、分からないわけじゃないだろう?」 「もちろん。だけど、アレンが…」 「アレンが?」 「僕が兄さんと偽って国王の元へ輿入れするんです。そうすれば、兄さんはトーヤと一緒になれる。トーヤは兄さんと一緒になれる。僕は一生食い扶持に困ることはない。三者三葉のメリットがあるんです」 「でも、国王に偽装していることがバレてしまったら…」 「僕は殺されます」 「それじゃ、アレクは悲しんでしまう」 「そうならないように細心の注意を払います」 「バレない保障はないんだろう?」 「そうですけど、大丈夫です。僕にも考えがありますから」 「アレン…」 「お願いです。トーヤは兄さんの幸せを第一に考えてください。どうか兄さんを幸せにしてください」 アレンは土下座した。 その本気を二人は感じ取った。 「分かった」 「トーヤ…」 「出国はアレンの輿入れの日と同じ日にする」 「ありがとうございます、トーヤ」 それからは輿入れの準備に追われ、あっという間に一週間が経ち、期日当日になった。

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