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第8話
月のうち3週間、エレンとヨルは常に一緒にいる。基本的にエレンの家ではエレンの部屋で過ごし、外では極力離れない。2人は気があうので、特に問題はなかった。むしろ周りから見て微笑ましいほどに仲がいい。
そしてヨルがいない残りの一週間、エレンは外に出ず、部屋か、もしくはシリウスの中で過ごしている。
プラネタリウムに行った次の日から、ヨルは休みに入り、エレンは1人になった。
まあ仕方のないことだ。今日も普段と変わらず、実験を進めればいい。
「エレンさん、何か疲れてます?」
「えっ、なんで?」
「さっきからため息10回目ですよ。」
「僕、ため息なんてついてた?」
「割と盛大に。無自覚ですか?」
「ごめんなさい… 」
「エレンさんってヨルさんがいないとマジで気分落ちますよねーっ!!」
アルクトゥールスの人と話していると、いかなりユラが割って入ってきた。
「そんなことないと思うけど… 」
「いや絶対元気ないですって。」
言われて思い返してみると、確かにそうかもしれない。ヨルがいないと、いるときに比べて少し物事が捗らないのだ。
「もしかして恋とか?恋ですか??ヨルさんカッコいいですもんnいだだだだっ!!痛いですっ!!」
「ユラ… 」
「なんです?図星ですか??!」
「今日は後任せた。」
「そんな、あんまりですって!!えっ、まっ、帰らないでくださいって!!ねえ!!」
いきなり恋とか言い出すし、しかもよく考えたらもしかしたら図星かもしれないし…と、エレンは言われたことに対して激しく動揺した。
そもそもちょっとユラに任せなすぎたところもあるし、お調子者の彼にはこれだけ言っても足りないくらいだ。こころよく実験室を後にさせてもらい、エレンはもやもやを抱えたまま外に出た。
嫌なことがあった日に抱きついて添い寝すれば落ち着くし、ヨルが食事を取っているところが色っぽくて不意にどきりとすることがある。
どこかに行けば丁寧にエスコートしてくれるし、落ち込んでいるときはすぐに気づいて温かい言葉でなだめてくれて。そんなところが大好きで。
そしてなんとなく、一緒にいたいと思う。守られている立場なのに、守りたいと言う思いが働く。
出会った時からエレンはずっと、ヨルに惹きつけられてたまらないのだ。
"…恋、か…。"
自分には全く無縁なものだと思っていたが、ヨルに対しての好きは、父や他の尊敬人に対する好きとはどこか違った。これが恋だというのなら、そうだったのかと認めざるを得ない。
けれど…
帰りの車でぐるぐると考えて、結局、次にヨルが戻ってきたときにどうにかしよう、と思考を放棄したエレンであった。
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