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3.希少種の能力

 高校生になった。  不本意だが、父と身体を重ねていたお陰で、発情(ヒート)に悩まされた事はない。  なぜかいつも、父がいる夜に発情(ヒート)が起こるのだ。  発情(ヒート)は一週間位続く物だが、αの精液を身体に取り込めば、熱は収まり普通に生活できる。  けれどその日は違った。   *  *  *  その日、父は出張で留守だった。  家にいたのは俺と弟の隆明だけ。  一ヶ月ごとにくる発情(ヒート)は、一週間前に終わっていたし、何の懸念(けねん)も無い――はずだった。 「ただいま、兄さん」  異変が起きたのは夜。  部活から帰った弟と、廊下で顔を合わせた時だった。 「ねぇ、兄さん。兄さんの発情期って、いつ?」 「え……?」  なぜそんな事を聞かれるのか分からない。  動揺する俺を、隆明はジッと見詰めてくる。  その目を見ていたら、急にゾクリと身体が震え、腹の底が熱くなってきた。 「ふぁ……あぁ……」  これは、発情(ヒート)――? 「良かった。僕にも使えたみたい」 「たか……あき……?」  突然の発情(ヒート)に苦しむ俺を見詰めたまま、隆明がニヤリと微笑む。 「知ってる? αの中には、特殊な能力を持つ『希少種』がいるんだって」  希少種――?  隆明が何の話をしているのか分からない。  それよりも、発情(ヒート)のせいで呼吸が苦しい。  身体の内で暴れ回る熱を持て余し、俺は自分の腕を掴み、その場に膝をつく。  俺の顔を覗き込むように、隆明がしゃがんだ。 「僕ね、この前見ちゃったんだ。父さんが、リビングにいる兄さんを、ジッと見詰めてて――何してるのかな、って思ったら、兄さんが発情した」  俺は息を飲んだ。  発情(ヒート)を起こした所を、弟に見られていた――?  しかも隆明の口振りだと、俺の発情(ヒート)には父の能力が関係している。  今の話が本当だとしたら、先週終わったはずの発情(ヒート)が起こったのは、隆明にもその能力が――?  俺の驚愕を見て取った隆明が、ゆっくりと頷き、言葉を続ける。 「その後、父さんに部屋へ連れて行かれて……シたんだろ? 父さんとセックス」  生々しい指摘に、心臓がドクンと脈打ち、胸が締め付けられるように苦しくなった。  隆明がニタリと顔を歪める。 「父さんとシたなら、僕ともできるよね?」 「や……やめ……っ!」  発情(ヒート)で動けない俺を、隆明が押し倒してきた。  隆明の指が胸の頂きを抓み、俺の身体がヒクンと跳ねる。  俺は男なのに、そんな乳首(ところ)で感じるとは思わなかった。 「乳首、弄られるの初めて? 気持ち良い?」 「あっ……やら……ンン……」  服の上から乳首を捏ねられ、また腹の奥から熱が溢れてくる。  股間が疼いて、我知らず太腿(ふともも)を擦り合わせていた。  隆明がクスクスと笑う。 「下も欲しい? 口では嫌々言いながら、こっちはパンパンだね」  張り詰めたモノを撫でられ、あられもない声が出た。  自分が、女のような甲高い声を出しているのが恥ずかしく、俺は激しく首を振る。 「兄さんは嘘つきだね……」  低く優しい声で呟く隆明が、問答無用で俺のズボンを脱がせた。  空気に(さら)された屹立が、物欲しそうに先端から涙を流す。  もう苦しいほどに欲望を溜め込んだ自身を、隆明の手が無慈悲に扱き上げる。 「あぁっ……らめぇ………イく……イくぅ……」  今にも達しそうな快感に、俺の目からも涙が零れた。  ゴクリと喉を鳴らした隆明が、すぐさまズボンを脱ぎ、俺の足を割り開く。 「僕も、気持ち良くしてよ」  そう呟いた隆明が、俺の後孔に屹立を突き入れた。 「あぁっ……! や……いた……ぁンン……!」  尻が裂けるような痛みに、俺は堪らず涙を流す。  けれど隆明は構わずに肉棒を突っ込み、嬉しそうにクスクスと笑いだした。 「やった……今、兄さんとセックスしてる」 「あ……あぁ……」  言葉にならない。  父ばかりか、弟とまで――  こんな事、倫理的に間違っている。  それなのに―― 「動くよ、兄さん……」 「あ……らめ……あ、あぁん……」  隆明の肉棒に内肉を擦られると、痛みよりも快感が俺の身体を支配する。  なんて浅ましい身体だろう。 「あぁ……気持ち良い……兄さんも、気持ち良いよね?」 「ん……や……やぁ……」 「嘘つき……」  隆明がそっと呟き、俺の上に上体を倒して、優しいキスをした。

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