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第4話

「今朝連れてた可愛い子、誰!?」 教室に入った途端、級友たちに囲まれる。ほらな、やっぱり注目の的だった。 「あぁもう! アレは俺の弟だよ! お前等うるさい! 散れ!」 「弟!? 妹じゃなくて!? でもあの双子の兄ちゃんの弟だと思えば納得か、兄ちゃん達も美形だったもんなぁ」 「四季、お前って本当にあの兄弟と血繋がってんの?」 級友達は勝手な事を言って囃し立ててくるが、そんな事は俺だってもうとっくの昔に考えたわ! 何処かで捨てられていたのを貰われてきた子なんだって俺だって思ったさ! 思いつめて戸籍謄本を取り寄せてそれが両親に見付かって母親に大泣きされて家族会議になった事だってあるんだからな、ついでにそのまま俺が産まれた時の記録ビデオの鑑賞会になってめっちゃ気まずかったわ! その時の俺はまだ末っ子だったから、皆にそりゃもうちやほやされてる映像でさ、俺にもこんな時代があったんだなぁ……って妙に感慨深かったよ。 一縷兄ちゃんが恐る恐る俺を抱っこしててさ、双葉兄ちゃんと三葉兄ちゃんが自分達もって大騒ぎしてるんだけど、まだ2人は小さすぎて抱っこさせてもらえなくて拗ねてんの。一縷兄ちゃんはずっと俺の事、可愛い可愛いって連呼してて恥ずかしかったな。 そんでもってその流れで樹の方のビデオ鑑賞会になって、あまりの樹の可愛さにほわんとなったと同時に、一縷兄ちゃんの膝の中にいた俺がぽいっと放り出される映像があって、俺の天下はこの瞬間に終わったんだなって思ったのも覚えてる。 さすがに2歳だったから当時の事は覚えてないけど、画面の向こうでギャン泣きする俺はとても可哀想だった……思えばそうやって俺は誰かに愛される事を諦めていったんだろうな、って何となく理解した。 「そうは言っても『みにくいアヒルの子』だって白鳥になる可能性はまだ残されてるよな」 「あん?」 「お前、頭は良いもんなぁ、というわけで塾の宿題見せて!」 級友に拝むように頭を下げられた俺は、鞄の中からノートを取り出し下げた頭にぽすんと乗せる。 「助かる~四季、大好き!」 「たまには自力でやる事も覚えろよ、俺達だってもう受験生なんだから」 俺は溜息を零しながら席に着く、別に俺は頭がいい訳じゃない。人より少しだけ成績が良いのは兄達に引けを取らない為に必死に勉強しているからで、その成績だって上の下なんだから世の中上手くいかないよな。

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