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第19話

「抱きたい?」 「お前がいいと言うのなら」 「ふぅん、まだそんな事言うんだ……」 どこまでも忍耐強い兄は俺のGOサインだけを待っている、だけど俺が求めているのはそんな言葉じゃないんだよ。 「だったら言わない、大人しくそこで指咥えて見てて」 言って俺は服の端を咥えて自身の肌に指を這わせる。俺はそんな従順な愛が欲しい訳じゃない、もっと激しくどうしようもなく求められたい、それを望むのは間違っている? 俺にはそれ程魅力がない? だったらいいよ、見てればいい、最後まで手を出してこなかったら別れてやる!! 「四季、なんで……」 なんでなんて聞きたいのは俺の方だ。どうして触ってくれないの? なんでそこで我慢するんだ? 俺の事が本気で好きなら俺をそのまま押し倒せ! 俺の尻の下にある兄自身は尚も硬くなっているのに、我慢する意味が分からない。 あぁ、いかん……ちょっと泣けてきた。 「四季、お前はなんで泣く? 何がそんなに気に入らない? 言ってくれなければ分からない、俺はお前を泣かせたい訳じゃない」 「だったら兄ちゃんも言ってよ! 俺が言わせたんじゃ意味がない、俺がやらせたんじゃ意味がない、俺はそんなの望んでない! 俺はΩじゃないから、兄ちゃんが噛んだ痕だってもうとっくに消えちゃったよ!」 兄ちゃんが嫉妬のままに噛み付いて首筋に付いた噛み痕は既にだいぶ前に消えてしまった。もし俺がΩだったらその噛み痕は消えずに残って番になれただろうか? だけど俺はΩじゃない。 「もしかして、不安にさせていたか?」 大きな掌が俺の頬を撫で涙を拭う。けれど一度緩んだ涙腺はそう簡単には元には戻らない。 「事を急いては駄目だと思っていたんだが、こんな風に泣かせては意味がなかったな……」 兄の顔が近付いてきて唇が触れた。わがままな考えなのは分かっている、兄ちゃんがいちいち許可を求めてくるのは優しさなのだという事も分かってる、だけど俺はもっともっと愛されたい。今まで諦めてきた分だけもっと激しく求められたい。 「ぎゅってして!」 「ああ、そんな事ならいくらでも。もう、それだけでは止まれないが……」 そう言って、兄ちゃんはようやく俺を押し倒した。遅いよ!

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