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第3話
・・・・僕の部屋の布団こんなに寝心地よかったっけ・・・
・・ん?違う。ここは僕の家じゃない。
そのことに気づいてから、寝ぼけていた意識が覚醒した。
確か僕は昨日、龍也さんに告白されて、一緒に住むことになったんだった。
隣に龍也さんはすでにいなかった。
・・いま何時だろう。久しぶりにこんなにゆっくり眠れた気がする。
とりあえず、僕はリビングに移動することにした。
リビングに通じるドアに近づくと、何人かの話し声が聞こえた。
・・・今行かないほうがいいかな。
そう考えていると、目の前のドアが開いた。そこには僕が探していた人、龍也さんが立っていた。
「起きたのか?おはよう。伶。」
「おはよう。龍也さん」
「とはいっても、もう昼前だがな。」
「え、嘘。寝坊しちゃった。ごめんなさい。」
「かまわない。疲れていたんだろう。かわいい寝顔も見れたしな。」
そういうと龍也さんは僕の額にキスをしてきた。
突然のことに顔を赤くしていると、知らない声が聞こえてきた。
「・・会長。そちらの方ですか?」
声のした方を見ると、二人の男が立っていた。
「ああ、今日こいつの日用品などを買いに行きたいんだが、何時ならいい?」
龍也さんがそういうと一人が手帳を取り出し、確認しながら言った。
「本日は、13時から一件商談が入っているだけですので、15時ぐらいからなら可能です。」
「それなら15時に行こう。いいか?伶。」
「え、ああ、うん。龍也さん?」
この人たち誰?と目で訴えると龍也さんが言った
「ああ。こいつらを紹介しよう。天羽会の幹部。つまり、天羽会で俺の次にえらい奴らだ。
これから顔を合わせることも多いだろう。覚えてやってくれ。」
そういうと、龍也さんが二人に自己紹介をしろと目配せした。
「初めまして。会長からお話は聞いております。天羽組幹部の和泉愁(いずみしゅう)と申します。よろしくお願いいたします。」
「初めまして。同じく天羽組の幹部の椎名凛月(しいなりつき)と申します。よろしくお願いいたします。」
「如月伶です!よろしくお願いします!」
自己紹介をし、改めて三人を見ると、三人の顔の整い具合にめまいがした。
目鼻立ちのしっかりしたモデル体型の龍也さんと黒髪に眼鏡をかけ、きりっとした静かな印象を持つ和泉さん、明るめの茶色の髪を後ろで短く結び、ゆるく温かい印象を持つ椎名さん。
この三人で雑誌に出ていても違和感ないぐらいの顔面偏差値だ。
そうこうしていると龍也さんが仕事に行く時間になり、龍也さんの仕事には和泉さんがついていき、留守番をしている間に椎名さんが僕の相手をしてくれていた。
話しているうちにだんだん慣れてきて、初めは緊張していたのが嘘のように普通に話せるようになった。
「椎名さんは休みの日は何してるんですか?」
「んー休みをいただいた日は、友人とスポーツをしたりしていますね。」
「スポーツですか!何が一番得意なんですか?」
「バスケットボールですかね。人並ですが。」
「お前のバスケが人並だったらプロ級はもう化け物だ。」
ふと後ろから聞こえた声に振り向くと、苦笑する龍也さんと、平然とした顔の和泉さんが立っていた。
「お帰りなさい。龍也さん、和泉さん。」
「ただいま。伶。」
「ただいま帰りました。
伶さん。一つお教えしておきますが、こいつのバスケはプロ並みです。」
「ああ。そうだな。決して人並ではない。」
和泉さんと龍也さんが言う。
そうして四人で雑談をした後、買い物に行き、僕の服などの日用品を買った。
値段が全くかわいくなかったのは気づかないふりをすることに決めた。
家に帰り、幹部の二人が帰ってから、龍也さんとごはんを食べ、ゆっくりしていた時、
「龍也さん。」
「なんだ?」
「僕、今日すっごく楽しかったの。幹部の二人ともたくさん話せて、龍也さんともたくさんお話しできて。だからね、僕、龍也さんと会えてよかった。これからもそのことを後悔する日は来ないと思うよ。ありがとう。龍也さん。」
そう言うと、僕は龍也さんの唇に軽いキスをした。
龍也さんは一瞬目を見開き、おどろいた顔をして、すぐにうれしそうに顔を緩ませた。
龍也さんの唇がゆっくり近づいて、啄むようなキスが降ってくる。一度顔を見合わせ、今度は深く、長い大人のキスが降りてきた。
「・・んっ・ふぅ・・んぁ・・んんっぷはっ。」
「俺も伶に会えてよかった。ありがとう。伶。」
ああ、僕、今すごく幸せだ。
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