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第6話(間宮side)
会長の恋人になったという人の護衛を椎名幹部から仰せつかった。
会長を落とすなんてどんな人だろうと思っていたが、会ってみたらとても気配りのできる素敵な人だった。
伶さんはバイト先に着くと行ってきますと言い、車を降りて行った。
「なぁ、池澤。伶さんのことどう思う?」
「あ?なんだいきなり。!!お前まさか!」
「ちげぇわ!!!そういう意味じゃなくて素直で素敵な人だと思っただけだよ」
「だよな。そんなことしたら会長に殺されちまう。まぁ俺も素敵な人だとは思うよ。
会長が伶さんを選んだ理由がわかる気がする。」
「同感だ。」
そんなくだらない会話をしながら俺たちは伶さんの帰りを待った。
「・・・・・なぁ。遅くないか?」
たしか伶さんはバイト終了が20時と言っていたが、今は20時半を回ろうとしていた。
「俺ちょっと見てくるからお前待ってろ。」
池澤に待っているように言い、店に向かう俺の足は嫌な予感を感じ取ったのか早くなっていった。
「すいません、如月伶さんはいらっしゃいますか。」
「如月ですか?ちょっと確認しますね。」
レジにいたスタッフに聞くとパソコンで調べ始めた。
「・・如月は・・19時57分に退勤していますね。」
目の前が真っ暗になった。呆然としていると誰かに話しかけられた。
「あなた如月の知り合いっすか?さっきぐったりした如月が車に乗っけられてましたよ
具合悪かったんすか?」
「すいません!!その車のナンバーとか見てないですか?」
「え?す、すいませんナンバーはちょっと見てないっす。」
藁にもすがる思いで聞いたが、やっぱり見てないよな。
「そうですか。ありがとうございました。」
走って車に戻り、池澤に状況を説明する。
「攫われたって!どこから!」
「たぶんあのバックヤードの死角だ。」
プルルルr
「椎名だ。どうした。」
「伶さんがいなくなりました。攫われた可能性が高いかと思います。」
「なんだと?お前らがついていながら攫われたというのか?」
「申し訳ありません。バックヤードで起こったことでして、見ることができませんでした。」
「話はあとで聞こう。お前らは天羽会の事務所に来い。私たちもすぐに行く」
「了解しました。」
伶さんどうか無事でいてください!そう願いながら俺たちは事務所に向けて車を走らせた。
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