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第8話(凛月side)

間宮から伶さんが攫われたと連絡が入った。すぐに愁に連絡を入れる。 「和泉だが。どうした?」 「伶さんが攫われた。」 「なんだと。とりあえず幹部室に来てくれ。」 「分かった。」 電話を切り、足早に事務所の中にある幹部室に向かう。到着すると愁はもう来ていた。 「で、どういう事だ。」 「俺も細かいことはわからないけど、バックヤードから出てきたところを狙われたっぽい。 間宮たちが待機してたところからは死角で見えなかったって。」 「そうか。伶さんを攫うとすれば、会長の情報がほしい情報屋か会長を個人的に恨んでる奴かもしくは・・・伶さんに好意を持ってる奴のどれかだな。」 「ああ。とりあえず会長に報告しなきゃ。」 「そうだな。行くか。」 そういって二人で幹部室を出た。 「会長・・怒るかな?」 「腕の一本や二本折れる覚悟をしといた方がいいかもな。」 「笑えねぇ冗談だな。」 「冗談だったらいいな。」 「・・・え?マジなの?」 意味深な発言をしてから口をつぐんでしまった愁に絡みながら、俺の内心は冷や汗だらだらだった。 「着いたね。 愁?ところでどっちが本題を切り出すの?」 「連絡を受けたのはお前なんだからお前だろう。」 「え?俺死なない?」 「死んだら葬儀ぐらいは開いてやる。」 「そうじゃなくて! 愁!じゃんけんしよう。負けた方が言おう。そうしよう」 そういってじゃんけんをしたものの、俺が全敗し、俺が言うことになった。 死ななきゃいいな。 トントン 「入れ。」 中から会長の声が聞こえ、俺たち二人は深呼吸をして中に入る。 「どうしたんだ?二人そろって。何かあったか?」 はい。ありました。最悪なことが。 「はい。報告させていただきます。 伶さんが、何者かに攫われたという報告が入りました。」 そういった瞬間会長を包む雰囲気が冷たく、鋭いものに変わった。 「誰を護衛につけた?」 「間宮と池澤です。」 「その二人がついても阻止できなかったのか。」 「バックヤードの陰で起こったことでして、確認することができなかったようです。 私の事前確認が甘かったためでして、間宮と池澤には責任はないと考えております。 申し訳ありませんでした。」 そういって頭を下げる。隣の和泉が驚いたように息をのみ、少し間が開いて和泉も話し始めた 「私の確認も甘かった部分があります。申し訳ありませんでした。」 隣で頭を下げる和泉。 俺はいい仲間を持ったわ。感動だよ。愁君。 頭を下げる俺たちを見て、会長がふっと笑った。 「お前らが部下をかばって頭を下げるとはな。明日だ。明日までに伶を取り戻すぞ。」 「「はい。」」 俺たちは伶さんの無事を願って情報収集を始めた。

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