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第10話

男が出て行ってから何時間経っただろう。 龍也さん、僕のこと探してくれてるかな。迷惑かけちゃったな。 僕は龍也さんのところに帰れるんだろうか。もし帰れなかったら・・・? 窓もない部屋に閉じ込められ、手錠をはめられているとどんどんネガティブな思考になっていく。もしかしたら龍也さんは助けに来てくれないかもしれない。もう僕のことはいらないかもしれない。気を抜くとすぐにそんなことを考えてしまう自分を叱りながら、男が来るかもしれない恐怖に耐え続けた。 しばらくして部屋のドアが開き、男が顔を出した。 「おはよう伶君。よく眠れた?」 男が言っていることを聞いて夜が明けたということを知った。 「?よく眠れなかったかな?クマができてるよ。ごはんあるから食べさせてあげるね」 おなかは空いていたが、男から食べさせてもらうことが嫌で返事はしなかった。 「伶君?いらないかな?じゃあ下げちゃうね。俺は今日ちょっと出かけてくるから、いい子で待っててね。夕方には帰ってくるよ。」 帰ってくんな。そう言いたいのをぐっとこらえて、僕は布団をかぶった。 「はぁ。じゃあ行ってくるね。」 男はため息を吐き、そういうと部屋を出て行った。 時間がたち、男が帰ってきた。帰ってきた男はイライラしていた。 「何でおれだけこんな思いしなきゃいけないんだ。」 そんなことをぶつぶつ言いながら部屋に入ってきた男は、僕の姿を見つけるとあろうことか僕の上に馬乗りになってきた。 「ちょ、なにっ!ヤダ!」 男は無言で僕の手を布団に押し付け、僕の服に手をかけた。 「ヤダ!やめて!」 「チッ。うるせえなぁ。」 嫌だと暴れる僕を見て舌打ちをした男は、僕の服をはだけさせた。 「ヤッ。無理。無理。やめっ」 男の手が僕に迫ってきた時、 バァァン!! 凄まじい音を立てて部屋のドアが開いた。 「伶に指一本触れてみろ。・・殺すぞ。」

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