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第15話

目が覚めると知らない天井が目に映った。 ここどこだろう。そう思って辺りを見回していると、龍也さんが誰かと共に部屋に入ってきた。 「っ伶。起きたのか?具合は悪くないか?」 僕のことを見るなり龍也さんは僕に駆け寄って心配そうに問う。 「龍也さん、ここどこ?」 起きて一番疑問に思ったことを龍也さんに聞く。 「初めてだったな。ここは天羽会の病院だ。 お前、気を失って倒れたから連れてきた。で、こいつがここの医者の、」 「狐森慧(こもりけい)です。よろしくね伶くん」 龍也さんが紹介するのを遮って自己紹介をする狐森さん。 「よろしくお願いします。」 挨拶をすると狐森さんはニコッと笑う。 「で、慧。伶の具合は大丈夫なんだろうな。」 龍也さんが狐森さんに聞く。龍也さんが名前で呼ぶなんて、仲良いのかな。この2人。 「見てみるよ。だから龍は出てて。」 「は?なんでだよ。いてもいいだろ。」 「ダメ。出てて。お前がいたらやりにくだろ」 納得のいってない龍也さんを問答無用で押し出し、狐森さんは僕に向かい合った。 「さて、伶くん。ちょっと見せてね。」 そう言って狐森さんは僕の脈を測ったりしている。 「何か聞きたいことある?あったら聞いて」 「狐森さんと龍也さんって仲良いんですか?」 気になっていたことを聞く。 「龍と?俺が?仲がいい?ないない。」 「でも名前で呼んでた。」 「ただの腐れ縁だよ。ずーっと小学校から同じところでさー。ほんとやんなっちゃうよね。」 「小学校から?小学生の龍也さんってどんな感じだったんですか?」 気になる。とっても気になる。 「それはまた今度教えてあげる。 待ちきれないバカがそろそろ入ってくるから。」 「え?」 狐森さんが後ろのドアを指差すと、そのドアがガラッと空いた。 「ほらね?」 狐森さんが肩を竦めながら僕を見る。 「龍。待っててって言ったでしょ。なんで待てないの。」 「伶は大丈夫なのか?」 龍也さんが狐森さんの小言はガン無視して言う。 「はぁ。伶くんは大丈夫。何も問題ないよ。」 「そうか。」 「伶。悪かった。」 僕が大丈夫なことが分かると、龍也さんは突然僕に謝ってきた。 「?なんで謝ってるの?」 「お前を守ると約束したのに、お前を危険な目に合わせてしまった。」 「…大丈夫だよ。龍也さん、助けに来てくれたじゃん。」 「俺は、伶が攫われてから心配で心配でたまらなかった。こんな感情は初めて味わった。伶が初めてだ。こんなに居なくなって欲しくないと思ったのは。だから、俺の傍にいてくれ。」 「僕ね、龍也さんが助けに来てくれた時、凄く安心したんだよ。龍也さんと離れてた時、すごく会いたいって思った。僕も初めてなんだよ。こんな気持ちになるのは。……龍也さん、助けてくれてありがとう。…大好きだよ。」 最後の方は声が小さくなってしまったけど、ちゃんと龍也さんには伝わった。 「俺も。伶のことを愛してる。」 そう言って龍也さんは僕のことをギュッと苦しいぐらいに強く抱きしめた。 「……伶、帰るか。俺たちの家に。」 「うん。」 僕、龍也さんと出会えて幸せだよ。

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