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第16話

おかしい。 僕が攫われた事件から1週間がたった。僕は無事に龍也さんに助けて貰ったわけだけど、あれから龍也さんの様子がおかしい。なにがって言われると難しいけど、なんか前までと違う。 ……どうしたんだろう。 ちょっと調べてみようと思って、ケータイを開く。なんて調べればいいか分からなかったから、とりあえず『男性 違和感』で検索をかけた。 出てきたサイトの1つを適当にタップする。 スクロールしていた手がある言葉を見つけて止まる。 浮気。 ………ないないない。 龍也さんに限って浮気とか、する訳ないよね。 …でも、龍也さんイケメンだし、そうゆう相手は一杯いるんじゃ… どんどん不安が募ってきて、ベッドにボフッと倒れ込む。 龍也さんが浮気してたらどうしよう。僕、飽きられちゃうかな。…ヤダヤダ。龍也さんと一緒に居たいもん。 そんなことをグルグルと考えていると、龍也さんが帰ってきた。 「ただいま。伶。」 「おかえり。」 「?伶。どうした?」 龍也さんは僕の変化に直ぐに気づいて聞いてくる。 「……なんでもないよ。大丈夫。」 そう言って、僕が寝室に入ると、龍也さんも着いてくる。 「どうしたの?龍也さんも寝る?」 「...いや、少しいいか?」 龍也さんが話を切り出す。 ああ。僕よりいい人出来たのかな。やだな。 「ん。いいよ。」 僕が了承すると龍也さんが僕の隣に座った。 「...あのな。伶。もし良かったらこれにサインをしてくれないか。」 そう言って龍也さんが1枚の封筒を差し出す。 「なにこれ?」 「まぁ、開けてみろ。」 封筒を開けると、中には紙が1枚。 開いて見てみると、予想もしなかった文字が僕の目に飛び込んできた。 「…………よ、養子縁組?」 「ああ。伶。俺と結婚してくれないか。」 ケッコン?けっこん?血痕?結婚。 結婚?????? 「ぼ、僕、捨てられるものだとばっかり、」 「捨てる?俺がお前をか?有り得ん。」 「だって、だって、龍也さんいつもと違ったから、僕以外の人が出来たんじゃないかって。」 自分の気持ちを言葉にすると、不安と安心と嬉しさが混じって涙になって出てくる。 「そうか。不安にさせたか。悪かったな」 そう言って、龍也さんが僕を抱きしめる。 「俺はお前以外はもうありえないと思っている。 俺はお前がいいんだ。俺がお前を捨てるなんてことは永遠に有り得ん。だから、安心しろ。」 次の日、僕は書類にサインをし、幹部の2人がすごく喜んでくれて、僕も嬉しくなって、そんな僕を見て、龍也さんが優しい顔で微笑んでいた。

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