18 / 67

第18話

ギィ…と大きな門が開き、その先に広がっていた景色は想像を超えるものだった。 きれいな日本式の庭が広がり、その先に玄関であろう入り口があった。 龍也さんと幹部の二人が先に入り、僕がその後ろに続く。 一歩その屋敷の中に足を踏み入れると、驚くべき光景が目の前に広がった。 玄関へ続く道の両側に並んだ、スーツを着た厳つい人たちが僕たちに向かってガバッと頭を下げたのだ。これには僕もびっくりして、龍也さんに少し近づくと、和泉さんが話しかけてきた。 「驚かれましたか?しかし、これが天羽会の持つ力といっても過言ではありません。これから会長のそばに居たいと思うのであれば、慣れなければいけないことです。」 そうだよね。天羽会なんてテレビのニュースで名前を聞くぐらい大きな組織で、龍也さんはそのトップ。そんな人の隣に居たいと望むなら人並以上の努力をしなきゃいけないんだ。 そう思って少し不安になってしまったのを感じ取ったのか、椎名さんが口を開いた。 「そんなに言ったら不安になっちゃうじゃん。愁。伶さん、俺たちは伶さんが俺たちの会長のそばに居たいと望んで下さっている限り、伶さんのサポートを全力でさせていただきます。 愁も、俺も、間宮や池澤だって伶さんの味方です。そして伶さんの一番心強い味方は会長だと思いますよ。」 そう椎名さんに言われて、ふっと肩から重荷が消えた気がした。 「…ありがとうございます。僕、頑張りますね」 二人と話している間、先に行き玄関に居た人と話していた龍也さんがこっちの会話を知ってか知らずか僕の名前を呼んだ。 龍也さんのところに行くと、さっきまで龍也さんと話していた人が僕に自己紹介してきた。 「初めまして。お話は伺っております。私、天竜組組長の側近をさせていただいております。 柊木望(ひいらぎのぞむ)と申します。よろしくお願いいたします。」 「あ、如月伶といいます。よろしくお願いします。」 僕もすかさず自己紹介をし、ペコッと頭を下げると何となくざわっとした。頭を上げると、フッと優しく笑う龍也さんと、少し驚いたような顔をしている望さんがいた。 「…?」 何がおかしいのかわからず、首を傾げると龍也さんがこそっと耳打ちしてきた。 「普通は俺の愛人だと来る奴は頭を下げたりしないんだぞ」 なんで?龍也さんが偉いから頭を下げないのはわかるけど、僕が偉くなったわけじゃないのに。納得していない顔をしていたんだろう。龍也さんはお前はそれでいいと頭をぐしゃっと撫でてきた。 「それでは組長のもとにご案内します。」 望さんに言われて、僕たちは組長さんの部屋に向かった。

ともだちにシェアしよう!