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第21話
「そのジャガイモ洗って皮むいておいてくれる?」
「ああ。分かった」
天竜組の本家に行った翌日、天羽会の組員さんへの挨拶をすませた僕らは家のキッチンに立っていた。龍也さんからのリクエストでコロッケを作ろうとしていたら龍也さんが「俺もやる」と言って一緒に作り始めたのだ。
「龍也さんは料理とかするんですか?」
聞いてみたものの龍也さんだもんパパっとできちゃうんだろうな。
「あー。しないな。」
「え?しないの?」
「ああ。したことない」
え、したことない?マジかよ。
「で、ジャガイモってどの洗剤で洗うんだ?」
「は?」
ありえない質問が飛んできてふと見ると食器洗剤とかの洗剤が入っている引き出しを開けて龍也さんがこっちを見ていた。
「っちょっと待って、食べ物は洗剤は使わないで洗います!」
大慌てで引き出しを閉め、龍也さんの手を引いてシンクに戻る。本人は「そうなのか。」とか言ってるし。大丈夫かな。
その後も龍也さんの暴走を止めながらなんとかコロッケを作り終えた。
「おいしい?」
龍也さんが食べるのを見ながら聞く。
「ああ。美味い。」
「ほんと?よかったー」
とりあえず龍也さんがおいしいと言ってくれたことに安堵し、僕もコロッケを口に運ぶ。
「!!!美味しいね!」
「お前はほんとにうまそうに食うな。見ているこっちが幸せになる。」
「だっておいしいんだもん」
我ながら天才なのではないかと思うぐらいコロッケがおいしくできて嬉しくなる。
そんな僕を見て龍也さんもやさしい笑顔を浮かべていた。
夕食も食べ終わり、片付けも終わらせて二人でゆっくりソファーでくつろいでいる時だった。
「伶。」
「ん?」
「お前を抱かせてくれないか。」
「ぶっっ」
ビックリして飲んでいた飲み物を吹き出しそうになってしまった。
「え?今なんて」
「お前を抱かせてほしい」
「え、僕男だよ?」
「知ってる。」
男同士ってどうやるんだ。頑張って考えた結果はとっても痛そうなやり方で、
「優しくする。約束だ」
「僕そういうことしたことないし」
「大丈夫。俺が全部してやる」
「でも、怖いし」
「怖いのも忘れるくらい気持ち良くしてやるさ」
僕の目を真っ直ぐに見て話してくれる龍也さんの話を聞いているうちに龍也さんに任せてもいいんじゃないかという気になってきた。
「…ぼ、僕、痛いの、やだからね。」
「ああ。分かった。」
「優しくないと嫌だよ」
「わかってる」
「大好き。」
「ふっ。知ってる」
龍也さんに抱きしめられた僕に優しいキスがふってきた。
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※次からRになります。苦手な方はご注意ください。
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