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第24話(愁side)
商談先に向かう車内、後部座席に座る会長がとても機嫌がいい。今にも鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気だ。
....正直すごく気持ち悪い気もするが、機嫌が悪いよりはいいほうがいい。
会長が機嫌が悪いとどす黒いオーラを周りにまき散らし、部下たちをおびえさせ、仕事のミスも増えるのだ。それを処理するのは結局俺と凛月であって俺たちの仕事が増える。ほんとに勘弁してほしい。
そうこう考えている間に商談先に到着した。機嫌のいい会長は商談先でも絶好調で予定よりもずいぶん早く商談が終わった。
「予定よりも二時間ほど早く終わりましたが、この後どうなされますか。このあと4時間後にまた会議が入っておりますが。」
「今日はその会議で終わりだな」
「はい。そのような予定になっております」
「そうか、それなら和泉これから少し付き合え。たまには二人で茶でも飲もう」
「私でよろしいのであればいくらでもお付き合いします」
「よし、行くか。どこか良いところはないか?」
「それでは駅前の喫茶店などはどうでしょう。」
「そこでいい」
外で待たせていた車に乗り込み、駅前の喫茶店に向かう。
喫茶店で席に着き、ホットコーヒーを二つ注文する。
「で、どうなされたのですか?」
「ん?何がだ?」
「私を誘ったということは何かあるんでしょう?」
「ふっ、さすがだな。
和泉に頼みがあるんだが。この頼みはお前がとても優秀な幹部だと思っての頼みだ。聞いてくれるか」
「内容によりますね」
「俺のスケジュールを三日ほど開けて欲しい」
「無理です」
何を言っているんだこの人は。毎日のように商談をしたいという電話が色々な企業からかかってきている中で会長ができるだけ伶さんと長くいられるように毎日スケジュール調整してるんだぞ。
「頼むよ」
「会長、お言葉ですがあなたが伶さんと共にできるだけ長い時間過ごせるようにいくつの商談をお断りしているかご存じですか。」
「知ってる」
「知っていてさらに断れと私に言っているわけですか」
「そうなるな」
「はぁ。理由を聞かせていただけますか」
せめてまともな理由であってくれと願いながら聞く。
「旅行に行きたい。俺と伶はもちろん、お前らも一緒に。」
「はぁ?ちょっと待ってください。ということはまさかとは思いますが私たちの予定も三日間開けろと?」
「そういうことだ」
なんでそんな真面目な顔で言うんだ。
「伶が来てこれから天羽会の組員たちと関わる機会も増えると思うんだ。組員のやつらにも顔見せはしたが伶と話す時間は設けられなかっただろう?だからこの旅行で伶がいろんな奴らと話してこれから組員たちと関わるときに少しでも楽になるようになったらいいと思ってな。だからどうか頼まれてくれないか」
「........分かりました。椎名とも話してスケジュール調整します」
こういう時に折れるのはいつも俺か凛月だ。
「ほんとか?ありがとうな」
「ですが、旅行の前後は忙しくなると考えていてください。あと、旅行中の天羽会のセキュリティーはどういたしますか」
「俺のほうから天竜組に掛け合っておく。多分人を貸してくれるだろう。」
「分かりました。会長そろそろ時間です。」
「もうそんな時間か。分かった行くか」
喫茶店を出て、会長と共に車に乗り込む。俺が頼みを受けたので会長はもっと機嫌がよくなったらしかった。会議も無事に終了し会長を家まで送り届けた後に時間的に家にいるであろう凛月のもとに向かう。
ガチャ
玄関の扉を開けると中から「おかえりー」という凛月の声が聞こえてきた。凛月もちょうど今帰ってきたところのようで、スーツのジャケットを脱いでソファーに沈んでいた。
「凛月、今帰ってきたのか?」
「んーそうだよ」
「ちょっといいか。」
「何?」
何とは言うもののソファーから動かない凛月をちょっとどかして自分もソファーに座る。
「天羽会で旅行に行くことになった。」
そう言った瞬間ソファーに沈んでいた凛月が飛び起きた。
「旅行!?どこ行くの?」
「まだ決まってない。旅行に行くのには会長のスケジュールと俺らのスケジュールを開けなければならない。」
「....何日?」
「三日だ」
「少なくとも俺のスケジュールでは三日開いてる日なんてないんだけど、愁は?」
「開いてるわけないだろう。」
「だよねー。知ってた」
自分のスケジュール帳を見てガクッと凛月がうなだれる。
「予定空けるぞ。俺らの分が終わったら会長のもだ」
「きつーい」
隣でヒーヒー言っていた凛月も渋々た自分のパソコンを持ってきて二人でスケジュール調整を始めた。
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これからも投稿を続けていきますので龍也と伶をよろしくお願いします!
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