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第40話

「美味しかったねー」 狐森さんおすすめだと言われて入ったお店はイタリアンのお店でピザやパスタはもちろんいろんなイタリアンの料理があって、どれも美味しかった。 「気に入ってもらえたようで何よりです。今度は二人で行きましょうね、このうるさいのがいない時に」 狐森さんが僕にこそッと耳打ちする。 「聞こえてるぞ?慧」 「聞こえるように言ってんの」 「伶、こんなのにほいほい着いていくなよ」 「えー俺ともランチしようよ。あ、そうだ携帯貸して」 狐森さんが僕の尻ポケットに入っていた携帯をヒョイと取って何かを確認するとすぐに僕の携帯がブブッと鳴った。 「それ、僕の番号だから。暇な時でも連絡してね。それじゃあねー」 狐森さんはさっさと帰ってしまって、次見た時には人ごみの中に消えていた。 「はぁ。あいつはいつもああなんだ。」 「なんというか、自由奔放な人だね。」 「とりあえず帰るか」 「そうだね」 龍也さんに手を取られて近くのパーキングに止めていた車まで行き乗り込む。 「ただいまー」 「先に中に入っていてくれ、電話していく」 「えー、待ってる」 「直ぐに終わるから、な?」 諭すように言われて、渋々先に家に入って待っているとしばらくして龍也さんが入ってきた。 「遅いよ。すぐ終わるって言った」 「遅かったか、ごめんな伶」 「ん。」 両手を龍也さんに向けて広げる。 「ああ、仰せのままに」 龍也さんが僕のことをギュッと抱きしめる。僕を包む心地よい体温にフッと体に入っていた力が抜ける。 「龍也さん?」 「なんだ」 「お話聞いて?」 「いくらでも聞いてやろう。ソファー行くか」 「ぎゅーしたままじゃないとやだ」 「分かったよ」 龍也さんが僕のことをヒョイっと持ち上げてソファーに座る。僕は龍也さんの膝に向き合って座るような体制になった。 「よし。どうした?伶」 「あのね、今日会った樹とか僕の親戚の人達ね僕のことがあんまり好きじゃないみたいで、昔からなんだけど、」 僕はあの一家が僕のことを良く思っていないことや、よく嫌がらせまがいのことをしてくることを龍也さんに打ち明けた。 「僕の両親が生きてる頃からだったからお母さんもお父さんも僕に会わせないようにしてたみたいなんだけどね」 「....そうなのか。分かった、話してくれてありがとうな」 話している間龍也さんはずっと僕の背中をさすってくれていて、僕の話にも絶妙なタイミングで相槌を入れてくれていた。 「今日は少し早いがそろそろベッドに入るか」 「お風呂入ってないよ?」 「明日の朝入ろう」 龍也さんにまた抱き上げられてベッドまで連れていかれる。龍也さんが僕をベッドの上に降ろし僕の分と自分の分の着替えを持ってくる。自分はさっさと着替えて僕の着替えも手伝おうとしてくる。 「ちょっ自分で着替えられるって」 「........襲ってもいいか?」 「は?」 「やっぱりダメだ。今日の伶は可愛すぎる」 龍也さんがまだ服がはだけた状態の僕をベッドに押し倒す。 「ちょっと、龍也さん!まって」 いきなりのことで大混乱の僕がバタバタと動くと龍也さんの心配そうな目が向けられる。 「いやか?」 「~~~っ」 そんなに捨てられた子犬みたいな目を向けられたらいやなんて言えないじゃん! 「....い、や..じゃ、ない」 「そうか」 龍也さんの顔が近づいてきて、龍也さんの唇が僕のに重なる。 そこから龍也さんに意識が飛ぶまでさんざんイかされて、僕は意識を手放した。 「....ああ、そうだ。如月樹とその両親。調べておいてほしい。ああ、悪いな。たのむ」 寝起きで朦朧としている意識の中で龍也さんの声が聞こえる。 「りゅ、やさん?」 「っ、悪い起こしたか?」 「なんで、となりにいないのー」 寝ぼけたままの自分でも何を言っているのか分からない頭で言葉を発する。 「ごめんな。まだ起きるには早い。俺も隣に行くからもう一度寝よう」 「んー」 隣に戻ってきた大好きな匂いと体温に抱きしめられたのを感じて僕はもう一度意識を手放した。

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