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第41話

朝、パチッと目が覚めると隣に龍也さんはいなかった。起き上がると腰に鈍い痛みが走ったが体はきれいだったので龍也さんが拭いてくれたんだろう。のそのそとベッドから降りてリビングに行く。 ダイニングテーブルの上には龍也さんの綺麗な字で「おはよう。俺は仕事に行ってくるからゆっくりしていてくれ。何か必要なものがあったら買って帰るから連絡してほしい。」と書いたメモが置いてあった。読み終わると、それを大事に僕の引き出しの中にしまった。 「え!もうお昼なの!?」 ふと時計を見ると時計の針はあと数分で正午を指すところだった。着替えようと部屋に戻ろうとしたところで玄関のほうからガチャっと音がした。 「起きられましたか。おはようございます」 リビングに顔を出したのはスーツをピシッと着た椎名さんだった。 「おはようございます、すいませんこんな格好で」 「いえ、お気になさらず。」 そう言われてもスーツの椎名さんと並ぶとみっともない気がする。 「少し待っててもらえますか、急いで着替えてきます」 「待つのは構いませんが、そのままでも大丈夫ですよ?」 「着替えてきます!」 「分かりました。お待ちします」 急いで部屋に引っ込んで服を着替える。 「お待たせしました」 「ずいぶん早かったですね」 椎名さんがニコッと笑いながら僕を迎えてくれる。 「こちらが昼食になります。お好きな時にお食べください。なにか他に欲しい物等ございますか?」 「欲しいものはないんですけど、聞きたいことがあります」 「なんでしょうか」 「龍也さんの誕生日っていつですか?」 「会長の誕生日ですか?」 龍也さんに聞いてもいいんだけど、完全にサプライズでお祝いしたいなと思っていた。 「会長の誕生日でしたら、今週の日曜日ですね」 「え!?」 いや、急すぎないか?あと5日しかないじゃん。聞かなかった僕が悪いのかもしれないけどさ。 「買い物行ってきてもいいですか」 「会長と一緒に行かれないのですか?」 「サプライズじゃなくなっちゃうじゃないですか」 「伶さんがお出かけになると必然的に会長に報告が行きますが」 「何とか行かないようにしてもらえませんか」 「それは不可能ですね」 「えー」 「お力になれず申し訳ありません。では、私はこれで」 そう言って椎名さんはそそくさと出て行ってしまった。 こうなったら、龍也さんに言うしかないのかな。 「ただいま」 夕方になり、龍也さんが帰ってきた。 「おかえりー」 龍也さんがソファーに座ったのを確認して龍也さんのところに行く。 「龍也さん。明日さ僕出かけてもいい?」 「どこに?」 「ショッピングモールかな」 「俺も行く」 言うと思った。でも龍也さんを連れて行くわけにはいかない。 「ダメ」 「なんでだよ」 「なんでも」 「理由になってないぞ」 「龍也さんは連れていけないの!」 「どうしてもか?」 「どうしても!」 ムッとした顔をしたまま固まってしまった龍也さんをじっと見る。 「....伶がそういうなら分かったよ。でも、椎名か和泉と一緒に行ってくれ。いいか?」 「わかった」 「それなら行ってこい」 「ありがと、龍也さん」 なんとか龍也さんに許可してもらい、明日龍也さんの誕生日プレゼントを買いに行こうと決めた。

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