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第43話(椎名side)

伶さんと昼食をとっている時に伶さんのいとこに会った。前に会長が調べておけと言っていた人物の一人だ。伶さんが嫌そうだったが、二人で話したいと言われたので会長に電話で確認する。 「もしもし、なんだ」 「お忙しいところ申し訳ありません。伶さんのことなのですがよろしいでしょうか」 「ああ、話せ」 「先日会長が調べるようにおっしゃった伶さんのいとこと会いまして、伶さんが二人で話したいと言っているのですがどういたしましょうか」 「また会ったか。そうだな、二人で話しても構わないと伝えてくれ。椎名は車で伶が出てくるまで待機していろ」 「危険ではないでしょうか」 「車の中から伶の様子を見ていてくれ。何か変わったことがあったら連絡しろ」 「かしこまりました」 電話を切ると伶さんのもとに戻り、伝票を持って先に会計を済ませる。車に乗り込み、伶さんの様子を車から見守っていると車の窓がコンコンとノックされた。 「なんでしょうか」 ドアを開けて外に出る。 「伶がお世話になっております。伶のおばの如月です」 「私に何か御用ですか。」 「あなた、天羽会の人ですよね」 「そうだとしたら何かあるのでしょうか」 「私としましてはヤクザの中に伶がいるのが心配で仕方ないのですが、伶を引き取らせていただきたい。」 「私には判断しかねます。返答はまたの機会ということでよろしいでしょうか」 「いいえ、伶は連れて帰ります。」 「本人の合意は得られているのですか?」 「そんなもの必要ないわ。あの子は私たちの所有物なんだから」 「何をおっしゃっているのか分からないのですが」 「それで結構ですわ。失礼します」 そう言って店の入り口の前で待っていた車に乗り込んでいった。車の陰からチラッと見えたのはぐったりする伶さんを車に乗せる如月樹の姿だった。 「おい、待て」 その車のほうに急ぐが、一足早く車のドアが閉まって車は発進していってしまった。 「くそっ!」 急いで車のナンバーを記憶し、会長に電話をかける。 「なんだ」 「伶さんが、如月樹たちに連れ去られました」 「なんだと!?」 「私が付いていながら申し訳ありません」 「伶から離れろと指示したのは俺だ。とりあえず事務所に来い。俺たちもすぐに行く」 「分かりました」 電話を切ると急いで車に乗り込み、事務所に向かった。 事務所に着くと会長たちもちょうど到着したところだった。 「会長、申し訳ありませんでした」 会長のもとに行くと、ガバッと頭を下げる。 「今回はお前の責任ではない。俺の責任だ。頭を上げろ」 「私がもっと慎重に動いていれば」 「後悔をするなら後にしろ。伶を探すぞ」 「はい」

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